毎週末のようにスノーボードができていた冬が終わり、オフシーズンになると急にテンション下がっちゃう人、いますよね。
います。(ここに)
せっかくスノーボードがうまくなってきていたのに、しばらくスノーボードの練習ができないなんて…!と絶望されているあなた。
大丈夫です。春~秋のいわゆるスノーボードのオフシーズンにもスノーボード上達のためにできることはたくさんあります。しかも、楽しみながら!
オフシーズントレーニング、通称「オフトレ」をすることによって、一年中スノーボードを楽しむことができる上に、次のシーズンは前シーズンとは比べ物にならないほど上達していることが実感できるはずです。
それでは今回は、現役スノーボードインストラクターの私たちが、スノーボードのオフトレができる施設や自宅などで気軽にできるオフトレ方法についてご紹介していきます。
オフトレはすべての種類やる必要はありませんので、自分にフィットするオフトレ方法を見つけてみてくださいね。
オフシーズンにオフトレをするメリット
オフトレ施設や方法をご紹介する前に、まずはオフトレをするメリットから見ていきましょう。
体力をキープorアップできる
冬の間はスノーボード三昧で毎週末滑りにいっているという方は、冬の体力は心配ないでしょう。しかし、夏になってスノーボードができなくなり、毎日デスクワークで座ってばかりだと、当然体力はみるみる落ちて行ってしまいます。
オフシーズンに体力が落ちてしまうと、いざシーズンインしたときに、スノーボードブーツを履いて板をもってリフト乗り場に行くだけでゼーゼーハーハ―してしまいます。
そんなひ弱な体力になってしまったら、せっかくのスノーボードを一日中楽しむことができなくなってしまいます。
オフトレをしておけば、体力をキープもしくは体力アップすることができますので、次のシーズンを初日から楽しむことができるのです。
バランス感覚を強化できる
スノーボードはバランスのスポーツです。オフトレによってバランス感覚を鍛えておけば、体幹も鍛えられるので、スノーボードスキルの上達につながります。
体の軸が安定すれば、デコボコした雪面や難易度の高いコースでも難なくターンできるようになりますし、ターンの切り返しも円滑になるのでターンスキルが1ステップも2ステップも上がっていきます。
バランス感覚が強化されれば転倒する頻度も減らすことができ、ケガのリスク軽減にもつながりますので、上級者だけでなく初級者もぜひオフトレを取り入れてもらえたらと思います。
夏でもスノーボードに触れ合える
オフトレの一番のメリットは、夏でもスノーボード(もしくはスノーボード疑似)を楽しめるということでしょう。
スノーボードにハマればハマるほど、冬の間はめちゃくちゃ毎日楽しく過ごせるのですが、雪解けとともにテンションが下がってしまう人が少なくありません。
そんな人でもオフトレをすることで夏も楽しい趣味と共に過ごすことができるようになりますよ。
スノーボードのオフトレ施設にはどんなものがある?
この章では、スノーボードのオフトレができる専門の施設についてご紹介していきます。
マット施設
まずは、オフトレといえば多くのスノーボーダーが思い浮かべるであろう、マット施設からご紹介していきます。
マット施設は、特にパークスキルを上達させたい人や、ジャンプを安全に練習したいという方におすすめの施設です。
着地する部分に特殊なマットが設置されていて、ジャンプしたあとエアマットに着地するので、実際のゲレンデパークのキッカーよりも安全に練習することができます。安全かつ実際のキッカーに近い雰囲気でジャンプの練習ができるのがありがたいですね。
実際のゲレンデのキッカーであれば、ケガをしそうなくらい危ない体勢になってしまっても、マット施設なら着地が特殊マットでやわらかいので、ケガのリスクをかなり軽減することができます。
結果的に難しいトリックや新しいトリックに挑戦できるという大きなメリットがありますね。
マット施設は
・ゲレンデのパークで跳んでみたいけどいきなりは怖い
・ケガのリスクを減らしてパークスキルを磨きたい
・新しいトリックをやってみたい
という方におすすめです。
マット施設としてはKINGSグループの施設が有名で、ここ数年で関東甲信越、関西、名古屋、九州などの各地にオープンしています。夜遅い時間帯まで営業をしているので、週末はもちろん、平日の仕事終わりにもトレーニングができるのが魅力ですね。
実際のゲレンデのキッカーだと、ノリと勢いで跳ぼうとしても怖くて腰が引けてしまい、着地をミスってしまうことはよくあります。マット施設で練習をしていけば、自信をもってキッカーに立ち向かえるのでジャンプの成功率もグッと上がりますよ。
来シーズンこそキッカーを跳んでみたい!キッカーで回してみたい!という方はぜひ行って見てください。
ウォータージャンプ
こちらも先ほどのマット施設と同じようにパーク練習用のオフトレ施設です。マット施設と違うのは、着地がプールということです。
もともとはオリンピック種目のスキーエアリアルやモーグルのエアを練習するために作られたオフトレ施設で、かつてモーグルの日本代表だった上村愛子さんもオフシーズンのトレーニングとして利用していたらしいです。
ウォータージャンプも、マット施設同様、着地が比較的安全な作りになっているので、実際のゲレンデのキッカーではできないような新しい技にチャレンジしたり、難易度の高い技をやってみたりするのに最適な施設です。
なにより夏の暑い日はプールに飛び込むので爽快で気持ちいいですよ。関東エリアを中心に比較的全国各地に幅広く分布しているので、お近くのウォータージャンプ施設を探してみるといいでしょう。
マット施設もウォータージャンプもそうですが、どちらも滑走面が特殊なブラシでできているので、いつも使っているスノーボードの板は使えず、板のエッジを削らなければいけません(ダリングと言います)。
せっかくの自分の板のエッジを削るのは心理的に抵抗が大きいと思いますので、施設でレンタルをするか、中古品などで格安で手に入れた板をオフトレ用の板にするというのがおすすめです。
室内ゲレンデ
ブラシの上じゃなくて、実際に雪の上を滑ってスノーボードを楽しみたい!という方は、室内ゲレンデがおすすめです。
室内ゲレンデは、スノーボードをやってみたいという初心者の方から、スキルアップを目指している上級者の方まで、どんなレベルの人でも楽しめるのが特徴です。
昔に比べると施設の数はかなり少なくなってしまったものの、練習のために毎週末車で通い詰める人もいるほど、オフトレには最適な施設です。
施設によって、キッカーやレールなどアイテム、ハーフパイプなどが設置されていたり、初心者の方も安心して滑れるよう広めの緩斜面が用意されていたりします。
施設の中は基本的にマイナス気温になりますので、屋外にあるマット施設やウォータージャンプと違い、ゲレンデと同じようなウエアを着た服装が必要になりますので注意してください。
室内ゲレンデの雪は人工雪で、気温も低く保たれているので、雪質はけっこう硬めでいわゆるアイスバーンの状態になっています。そのため、いきなりトリックを仕掛けると痛い目を見ますので、徐々に雪質に慣らしていってからトリックの練習をするのがベストです。
新しいトリックの練習をするのであれば、マット施設やウォータージャンプで練習して感覚をつかんでから、室内ゲレンデで挑戦するという流れがいいでしょう。
室内ゲレンデは他のオフトレ施設のように、エッジを削るダリングの処理が必要ないので、いつもの板をそのまま使いたい人にもおすすめのオフトレ施設です。
サマーゲレンデ
キッカーやレールなどのパークスキルよりも基本のターンの練習をオフトレでやりたいという方は、サマーゲレンデがおすすめです。
サマーゲレンデはスノーマットという特殊な芝が敷いてあるゲレンデを使って滑っていきます。最初は雪の上よりもかなり難しく感じると思いますが、慣れてくるとカービングやグラトリなどのトレーニングもできるようになります。
ジャンプメインのオフトレ施設はガチ勢が多いので、気が引けてしまう方も多いと思いますが、サマーゲレンデはレジャーとして利用する人も多いので、まだスキルに自信のない方やファミリーでオフトレしたい方にもおすすめできます。
こちらの施設もエッジを削るダリングの処理が必要なので、はじめて行く方は専用の板をレンタルしてもいいでしょう。
サマーゲレンデは転んだときに芝で擦りむいてケガをする可能性があるので、肌の露出はしない格好で行くことがマストです。また、慣れないうちは、できれば肘や膝のプロテクターも用意しておくことをおすすめします。
マウンテンボード
マウンテンボードとは、車輪のついたボードに乗って、アスファルトだけでなくオフロードや芝の上、砂利道などを滑ることができるスポーツです。今風な感じがしますが、その歴史は意外と古くて90年代に誕生していて「夏でもスノーボードがしたい」というアメリカのスノーボーダーたちによって考案されたそうです。
ぱっと見の印象は、タイヤの大きいスケートボードという見た目ですが、ビンディングが付いているところがスケートボードとは大きく異なります。
スケートボードはコンクリートの上でしか練習できませんが、マウンテンボードであれば実際のスキー場の斜面も滑れてしまうので、よりスノーボードに近い感覚を味わうことができます。ビンディングがついていて足のひきつけもしやすいので、ジャンプやジブの練習ができるのも魅力的ですね。
マウンテンボードの注意点としては、スノーボードと違って板を横にできないというところです。スノーボードではスピードをゆるめるときに板を横にして止まりますが、マウンテンボードでそれをやると、盛大に体が前に投げ出され、「マウンテン逆エッジ」を食らうことになります。板は常に進行方向を向けておくことを意識しましょう。
トランポリン
トランポリンを利用したオフトレ施設もあります。
トランポリンは楽しみながら運動量も確保できるので、体幹トレーニングのオフトレをしたいスノーボーダーはもちろん、楽しくエクササイズしたい女性にも人気のアイテムです。トランポリンは全身の体幹を鍛えられるだけでなく、主に下半身が鍛えられるのでスノーボードのオフトレに適しているのです。
スノーボードのオフトレ施設として運営しているトランポリン施設であれば、トランポリンの上でも使用できる板をレンタルしていますので、トランポリンでジャンプしながら新しいトリックの練習もできちゃいます。
施設に通うのは面倒…という方におすすめのお手軽オフトレ
前の章で、スノーボードのオフトレにおすすめの施設をご紹介してきましたが、中には施設に通う時間がない!もっとお手軽にオフトレしたい!という人も多いでしょう。
この章では、自宅や自宅付近でもお手軽にできるオフトレ方法についてご紹介していきます。オフトレ施設に通っている方も、併用してトレーニングすることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
スケートボード
まずは、スノーボードのオフトレの王道、スケートボードです。
スケートボードは、お金もあまりかからないですし、コンクリートがあるところならどこでもできるので、かなりお手軽なオフトレ方法です。
スケートボードそのものが趣味になるので、夏の趣味が欲しいという方にもおすすめです。また、スケートボードはビンディングが付いていない分、スノーボードよりも難易度が高くなりますので、スケートボードを練習することでスノーボードのスキルも格段にアップします。
スノーボードのように、ウエアを着込む必要もないですし、専用のブーツに履き替える必要もないので準備が楽というのもお手軽ポイントです。
当然ですが、スケートボードはコンクリートなど固い地面の上で練習するので、転んだときのダメージがでかいです。肌の露出がない服装でおこなうのはもちろん、プロテクターも着用するのが安心でしょう。
サーフスケート
スケートボードに興味はあるけど、いきなり挑戦するのは自信がない…という方は、サーフスケートがおすすめです。
サーフスケートはその名の通り、サーフィンのトレーニングのために開発されたスケートボードで、トリックよりもターンの練習に最適なアイテムです。
普通のスケートボードに比べて、タイヤが大きく、柔らかくなっているので、がたがたしている悪路にも強く、一回の漕ぎでしっかりと前に進めるのが気持ちいいです。
前輪がスライドするようになっているものや、タイヤがやわらかくなっているものが多いので、普通のスケートボードよりターンが格段にやりやすくなっています。しっかりと踏めれば簡単にターンができるので、狭めのスペースでもトレーニングできますよ。
通常タイプのスケートボードは苦手意識がありましたが、サーフスケートは案外簡単に乗りこなせるようになります。おしゃれなデザインもたくさんあるので、ぜひショップに行って見てみてください。
CARVERカーバー
スノーボードのオフトレとして、特にカービングをメインで練習したい方はCARVER(カーバー)がおすすめです。
カーバーはぱっと見はスケートボードとあまり大きな違いがわかりにくいのですが、普通のスケートボードとは別物と考えていいでしょう。スノーボードの「カービング」の基本動作が身に付くスケートボードで、多くのスノーボーダーのオフトレアイテムとして愛用されています。
雪上でスノーボードに乗っているときにはなかなか習得しにくいスキルも、カーバーに乗って練習していれば、自然と身に付くようになります。具体的には
・目線と上半身の先行動作
・上半身の体勢
・全身を使った力強いターン
・自らの力で板を加速させること
・ビンディングに頼らずバランスを保つこと
などです。
カーバーでオフトレをしておけば、来シーズンのカービングスキルがメキメキとアップすること間違いなしでしょう。
バランスボード
「施設に行くのはめんどくさい!なんなら、外に出るのもめんどくさい!」という方は、自宅でできるオフトレ方法がおすすめです。
自宅にいながらスノーボードのオフトレができるアイテムとしてバランスボードがおすすめです。
バランスボードは名前の通り、バランス能力と体幹の安定感を鍛えるためのもので、バランスボードの下にローラーをセットして、ボードの上でバランスを取ることでトレーニングができます。
バランスボードを左右に転がすだけでも効果抜群で、テレビを見ながらでもできちゃうのがうれしいポイントです。
バランスディスク
バランスボードと同様、自宅にいながらでもできるオフトレとしてバランスディスクもおすすめです。
空気の入ったディスクの上にそのまま乗ってもいいですが、実際にスノーボードの板を上にのせてトレーニングするとよりバランス感覚が鍛えられて効果アップです。ついでにブーツも履けば気分は一気にゲレンデです。
バランスディスクは特にグラトリのオフトレやプレスのオフトレとしておすすめです。体幹トレーニングにもなるので、シェイプアップの目的としても使えますよ。
ブーツも履いてトレーニングすると一気にテンションは上がりますが、自宅の中でスノーボードブーツを履くのは想像以上にシュールになります。誰かと同居している方は、そのままのテンションかつブーツも履いたままで自分の部屋から出ないように気を付けましょう。
筋トレ
スノーボードは全身の筋肉を使うスポーツなので、オフトレとして筋トレもおすすめです。
筋トレは、施設に行かずとも自宅内でできますし、自重トレーニングであれば器具もいらないので、思い立ったその日その時からトレーニングをはじめることができます。
特に脚部と体幹の筋力アップはスノーボードの上達に直接つながりますので、Youtubeなどでお気に入りの筋トレ動画を探してトライしてみるといいでしょう。自重トレーニングでは物足りなくなってきたら、ダンベルの購入も検討してみてください。
お金があれば地球の反対側に行っちゃうのもあり!
もし、お金にも時間にも余裕があるのであれば、いっそ本物の雪を求めて地球の裏側にオフトレに行ってみるのもありでしょう。
旅費はかかるし、言葉の壁もありハードルは決して低くはありませんが、海外のゲレンデに行けば、日本のゲレンデにはないたくさんの魅力を発見できるでしょう。
特におすすめしたいのが、日本と反対側にあり、日本とは季節が逆になるニュージーランドです。ニュージーランドは日本との時差が少なく、自然も豊かなので、日本人の有名ライダーが多数オフトレに訪れています。
お隣のオーストラリアも、シーズン的には日本と逆なので日本が夏の時オーストラリアはスノーボードシーズンになっていますが、ニュージーランドのほうが降雪量も多く雪質も良いので人気が高いです。
ニュージーランドの中でもおすすめなエリアは、美しい湖と山々に囲まれる南島のクイーンズタウンです。
クイーンズタウンの周辺には4つのスキー場があり、ハーフパイプやパークのクオリティが極めて高く有名選手も練習に来ているカードローナや、南島最大規模のゲレンデであるトレブルコーン、そして、市内から近くナイター営業もやっているコロネットピーク、ゲレンデから見下ろす湖の景色が感動的なリマーカブルズと、日本では味わえないようなゲレンデが揃っています。
夏の旅行も兼ねて、ニュージーランドなど海外のゲレンデにオフトレに行ってみるのもアリなのではないでしょうか。
まとめ
今回は、夏でもスノーボードを満喫できるオフトレ施設やオフトレ方法について解説してきました。
夏はスノーボードができなくてさみしい…
夏の趣味がなくてむなしい…
と毎年の夏を悲しげに過ごしている方は、ぜひオフトレに挑戦してみてください。
なお、オフトレに関してだけでなく、スノーボードのアイテムやスノーボードスキルについてわからないことがあれば、ぜひお気軽に私たちインストラクターにご相談ください。
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