スノーボード中、滑っているところの動画を撮ったり、雪山の美しい景色の写真を撮ったり、撮った写真をすぐにSNSにアップしたり、時にははぐれた友人と連絡を取り合ったり、普段の生活同様に、スマホが活躍しますよね。
最近はスマホが財布代わりになったりもしているので、スマホを手放すことに抵抗がある方も多いでしょう。
しかし、ゲレンデにスマホを持っていくことには多くのリスクも伴います。スマホは寒さに弱いので、すぐに電源が落ちてしまいますし、最悪の場合壊れてしまうこともありますので、持っていくべきか、置いていくべきか、悩ましいところです。
そこで今回は、ゲレンデにスマホを持っていくときのリスクや、リスク回避のための対策、バッテリーを守るための対策について、現役のA級インストラクターである私たちが詳しくお伝えしていきます。
また、バッテリーが落ちてしまった時の復活方法についてもお伝えしていきますので、ゲレンデでのスマホの扱いに困っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
なぜ寒いとスマホはすぐ電源が落ちるの?
スノーボード中にスマホを使っていると、電源がすぐに落ちてしまったという経験をお持ちの方も多いでしょう。スマホは寒さに弱いため、ゲレンデでの寒さに耐えられず電池がモリモリ減ってしまいすぐに電源が落ちてしまいます。
iPhoneを作っているappleも公式サイトでこのように述べています。
では、なぜ寒いとそれほどまでに電源がすぐに落ちてしまうのでしょうか。
その理由は、気温が低いとスマホ本体が冷えてバッテリーの電圧が下がり、バッテリーがうまく稼働しなくなってしまうからです。うまく稼働できないので、バッテリーから電気を引っ張ってくる行為が通常より高負荷になり、電池があっという間になくなってしまうのです。
スマホを含め、電子機器は一定の電圧があって作動しているので、あまりにも気温が下がって電圧が下がると急にシャットダウンしてしまいます。
特に、写真を撮ったり、SNSなどのアプリを開いたりするという行為は高負荷なので、バッテリーがうまく稼働しない状態の時だとたちまち電源が落ちてしまうことになります。
スノーボードでスマホを持ち歩くときのリスクと対処法
せっかくスノーボードに行くのであれば、思い出の写真を撮ったり動画を撮ったりしたいですよね。
電子マネーでのお買い物に慣れている方はお財布代わりにスマホを持ち歩きたいでしょう。
しかし、スノーボードに行くときにスマホを持ち歩くことには様々なリスクがあります。
バッテリーの消耗が異様に早い
ゲレンデにスマホを持っていくときに悩みどころなのがこれ。バッテリーの減りが異様に早いんですよね。
通常、スマホを使用する場所の適正温度は0℃~35℃なので、ゲレンデなど気温がマイナスになるような場所だと、先ほどもお伝えしたようにバッテリーに負荷がかかって急激に電池を消耗してしまいます。
負荷がかかりすぎたときや気温が低すぎるときなどは、使用していていきなり電源が落ちたり、使おうと思っても電源が入らなくなっていたりする場合もあります。
<対策>
対策としてはとにかくスマホを冷やしすぎないようにすることが大切です。
なお、バッテリーの減りが激しいことに関してはほとんどの方が悩んでいるところだと思いますので、後ほどの章でより詳しく「スマホのバッテリーを減らさないための対処法」をまとめていきます。
スマホが壊れる可能性がある
滑っている際に転んだり、グラトリやジブで転倒したりした際、転倒の衝撃でスマホが壊れてしまう可能性があります。
また、雪が溶けた水分でスマホが水没して故障する恐れもあります。今ではほとんどのスマホが防水仕様になっていますが、念のために防水対策もしておくことが重要です。
<対策>
スマホが壊れるのを防ぐためには、スマホをしまっておく場所に注意しましょう。
一番危険なのはズボンの後ろポケットです。ここに入れてしまうと転んだときに衝撃が大きくなる可能性が高いです。特に、ボックスやレールなどで失敗してお尻から着地してしまった場合、かなりの確率で破損します。
また、ジャケットの外ポケットはすぐに取り出せて便利ですが、ここも転倒した時に衝撃が大きくなりますし、電池の消耗も早くなります。
おすすめの収納場所はジャケットの内ポケットです。それに加え、万が一の衝撃に備えてタオルや厚めのスマホケースなどでスマホを包み込んでおくと安心です。
無くしたり落としたりする可能性がある
スノーボードを滑っている最中にスマホを紛失してしまうというリスクもあります。紛失理由のほとんどがポケットのチャックの閉め忘れです。転んだときに閉まっていないポケットからスマホが落ちてどこで失くしたのかわからなくなってしまうのです。
また、リフトの上でスマホを操作しているときに落としてしまうという場合もあります。
ゲレンデでスマホを落としてしまうと、雪に覆われて簡単には目視で見つけにくいですし、誰かに鳴らしてもらったり捜索アプリで探そうとしたりしても、寒さのせいで電池が落ちてしまってうまく探せないことも多いのです。
雪解けが進んだ春のゲレンデは、落とし物のスマホだらけだと聞きます。それだけ、多くの方がスマホをゲレンデで落としているということですね。皆さんは紛失しないよう、十分に気を付けましょう。
<対策>
まずは、スマホを収納しているポケットのチャックを必ず閉めるようにするという基本的なことが対策の一つです。特に、リフトの上でスマホを触った後や、スマホで写真を撮った後などはチャックを閉め忘れていないかどうかしっかりと確認することが重要です。
それでも忘れてしまうという場合は、ストラップのついたスマホケースに入れて首から下げた状態でジャケットの内ポケットに入れるなどの対策をすることも効果的です。
最近はジャケットのポケット内にスマホを収納する専用のスペースがあるものや、ストラップを結ぶ場所があるジャケットもありますので、そのようなウエアを選ぶのもいいですね。
ケガをする可能性もある
スマホを持ち歩いている状態で転んでしまうと、スマホ自体が壊れる危険性もありますが、自分自身がケガをしてしまう可能性もあります。
一番怖いのが、インナージャケットの胸付近のポケットに入れていて、前向きに転んだときにあばら骨を痛めてしまうケースです。スマホの向きによってはスマホがあばらに刺さってしまい、最悪の場合、骨折に至ることもあります。
私もバッテリー切れが嫌なのでインナージャケットの胸ポケットにスマホを入れていたことがありますが、グラトリで盛大に転んだときに、あばら直撃してめちゃくちゃ痛かった経験があります><折れまではしなかったものの、数分間微動だにできなかったので、スマホは凶器にもなりえることを実感しました。
<対策>
体に近いインナージャケットのポケットだと、スマホのバッテリー切れを防げますし、スマホが壊れる危険性も回避できますが、その分自分自身がケガをするリスクが高くなってしまうので難しいですね。
スマホを冷やしすぎず、転んだときにケガもしにくいおすすめの収納場所としては、ズボンのサイドのポケットです。ここなら、転んだときにスマホが壊れる心配もほとんどありませんし、自分がケガをするリスクも回避できます。
心配な場合は車やホテルに置いてくるのもアリ
ゲレンデにスマホを持っていくと壊したり無くしたりしてしまいそうで心配・・・。という方は、車の中やホテルの中に置いてくるのもアリです。
置いてくると滑っている間スマホが使えなくて不便を感じますが、その分スノーボードに集中することができますし、普段スマホばかり見ている方はデジタルデトックスにもなって気分もすっきりするでしょう。
スマホでSNS上の相手と会話するよりも、隣にいるスノーボード仲間と会話したほうがきっと良い思い出にもなるはずです。
スマホを置いてくるときの注意点としては、車に置いてくる場合は温度が下がりすぎないように毛布などで包んで置くことです。また、はぐれたときにスマホで連絡が取り合えないので、お互いにはぐれたときの集合場所なども決めておくと安心ですね。
スマホのバッテリーを減らさないための対策
何度もお伝えしていますが、ゲレンデの極寒環境だとスマホのバッテリーはモリモリ減っていってしまいます。
どうせ電源が落ちて使えなくなるならホテルに置いていけばいいや、という人は問題ないのですが、どうしても思い出の写真を撮りたい方や、滑っているときに大事な電話がかかってくる可能性のある方は、スマホを持ち歩きたいですよね。
では、ゲレンデでスマホのバッテリーが減ってしまうのを避けるための方法にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、実際に私たちが実践しているバッテリー保温対策をご紹介していきます。
体に近いポケットに入れる
ゲレンデでスマホの温度を保つために一番手っ取り早い方法が、体の熱を伝えるという方法です。
そのため、インナージャケットなどできるだけ体に近いポケットに入れておくと、バッテリーの持ちが断然良くなります。
ただ、先ほどお伝えしたように、体に近いポケットに入れている状態で激しく転倒してしまうと、スマホが体に刺さってケガをするリスクもあることは十分理解しておきましょう。
スマホのバッテリーとケガのリスクを両方加味すると、2枚目もしくは3枚目に着るインナーのポケットに入れたり、転んでスマホが体に当たっても痛くなさそうなポケットに入れたりなど工夫してみると良いですね。
スマホケースに入れる
防寒対策用のスマホケースに入れておく方法もおすすめです。
最近は、スマホダウンというもこもこしたケースも出ているので、保温効果に加えて転倒した時の衝撃吸収の効果も期待できます。
はっきりしたカラーのケースに入れておけば、万が一ゲレンデで失くしてしまった時にも見つけやすいというメリットもありますね。
機内モードにする
スマホは実際に使っているとき以外にも電波を探しているためバッテリーの消耗を促進してしまいます。
そのため、ゲレンデでスマホを使わないときやカメラだけしか使わないときは、機内モードにしてバッテリーの消耗を防ぐという方法もおすすめです。
省エネモードにする
機内モードに加え、省エネモードにすることでもバッテリーの消耗を防ぐことができます。
iPhoneで言えば、「設定→バッテリー→低電力モード」でこれをONにしておけば省エネでスマホを使うことができます。一部の機能が制限されますが、普通に使う分にはそれほど影響がないので低電力モードを活用するのもおすすめです。
他にも、位置情報サービスをOFFにしたり、通知設定をOFFにしたり、Wi-FiとBluetoothをOFFにしたりすることでもかなりバッテリーの消耗を防げますので、状況に応じて対策してみてくださいね。
カイロを活用する
最終手段、スマホにカイロを貼るという対策もあります。カイロは手軽に入手できますしすぐに温まってくれるので効果的ではありますが、高温になりすぎてもそれはそれでスマホのバッテリーを痛めてしまうので、温度管理には注意しなければなりません。
おすすめとしては、直接スマホにカイロを貼るのではなく、自分自身の体にカイロを貼り、その近くのポケットにスマホを入れておくという方法です。
ケガ防止の観点から言えば、ズボンの横側についているポケット近くにカイロを貼っておき、そのポケットにスマホを収納すれば、バッテリーの消耗も防げてケガもしにくくなりますよ。
スマホの電源が落ちてしまったらどうすればいい?
スマホのバッテリーが激しく消耗して、電源が突然落ちてしまった場合、どう対応すればいいのでしょうか。
急激に電池が減ったり、電源が落ちてしまったりした場合は、まずは人肌くらいにじわじわと温めるようにしてください。冷え切ったスマホを急に充電するとバッテリーの劣化につながったり、中のデータが壊れたりしてしまう恐れがありますので、いきなり充電するのはNGです。
ちなみに、私たちがいつもやっている対処法としては
①温かい室内に移動する
②電源が1%など異様に低い状態ならあえて電源を落とす
③脇に挟んでスマホをじっくり温める
④温まったら電源を入れてみる
という流れを取っています。
このようにすれば、たいていの場合冷え切る前の充電状態に復活してくれます。この状態まで戻れば、通常のように充電器で充電しても大丈夫です。
急いでドライヤーや暖房器具で温めてしまうと、結露が起きてスマホが水没して故障するリスクもありますので、体温をうまく使いながら人肌まで温めるようにしてくださいね。
スマホだけじゃない!手も冷やさないための対策
スマホのバッテリーを減らさないためにはスマホを冷やさないことが重要だとお伝えしてきました。が、スマホだけでなく、指先が冷えてしまうのもスノーボードを楽しむうえで弊害になります。
特に、スマホは指先のタッチでコントロールするため、スマホを操作する際に手をグローブから出すことで、手先もどんどん冷えていってしまいます。
そうなると、かじかんでスマホの操作もスムーズにできずに手もスマホも極寒の中で冷えていってしまい悪循環になりますので、手も冷やさないようにするための工夫が重要になります。
タッチペン
100均でも売っているタッチペンは、スノーボード中にスマホを操作するのにとても便利なアイテムです。
カラビナなどでウエアに取り付けておけば、グローブを外すことなくスマホを操作することができるので、手は温かいままですし、スマホを外気温にさらす時間も減らせて一石二鳥です。
スマホ対応のインナーグローブ
タッチペンの操作がいまいちやりにくい、という方は、スマホ対応のインナーグローブをグローブの中につけておくという方法もおすすめです。
外側のグローブを外すというひと手間は必要になりますが、素手を外気温にさらさなくてもいいので手先の冷えを防止できます。
スマホ対応のインナーグローブは大きめのサイズだとうまく反応してくれないので、自分の手のサイズにぴったりのものを選ぶと操作がしやすくておすすめですよ。
まとめ
思い出の写真を撮ったり、仲間と連絡を取り合ったり、SNSにアップしたりなど、ゲレンデにもスマホを持っていきたいと思っている人は多いですよね。
しかし、ハイシーズンのゲレンデは場所によっては-10℃を下回ることもありますので、スマホのバッテリーにも大きな負荷がかかってしまい、思うように使えなくなることが多くなります。
スマホのバッテリーに負担をかけすぎず、スマホの紛失や故障、ケガを回避しながら持ち歩くうえで今回の記事が少しでも参考になっていただければ嬉しいです。
なお、こちらのサイトでは、スノーボードを楽しむための豆知識はもちろん、スノーボードアイテムのアドバイスや滑り方のアドバイスもご紹介しております。
直接メールやLINEにて、ご相談もお受付しておりますので、もしスノーボードに関して疑問やご質問がありましたら、ぜひお気軽に私たち現役のインストラクターにお尋ねくださいね。
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