スノーボードにある程度慣れてきて、ターンも難なくできるようになってくると、スノーボードがどんどん楽しくなってきますよね。
そんなスノーボードにハマってしまった皆様にぜひ挑戦していただきたいのがパウダースノーです。パウダースノーランはスノーボードの醍醐味の一つと言っても過言ではなく、パウダースノーランをマスターすれば、もっともっとスノーボードが楽しくなること間違いなしです!
事実、私も北海道のパウダーを滑ってパウダースノーランの魅力にドハマりしてしまい、北海道への移住を決めたくらいです。そのくらい病みつきになります!
今回は、パウダーをまだあまり滑ったことがないパウダー初心者の皆さんに、パウダースノーの特徴や、パウダーをうまく滑るためのコツ、初心者でもパウダーを気軽に楽しめるお勧めのスキー場を私たち現役のA級インストラクターがご紹介していきます。
パウダースノーってどんな雪?
パウダーという言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、実際どういう雪がパウダーと呼ばれる雪なのでしょうか。
パウダースノーとは、水分をほとんど含んでいない、サラサラの雪のことをいいます。サラサラなので息を吹きかけると飛んでいくくらい軽いです。新しく降った雪や、深く積もった雪すべてがパウダースノーというわけではありません。
パウダースノーは水分がほとんど含まれていないため、いわゆる雪の結晶が肉眼でも良く見えるくらい綺麗な形をしています。
ちなみに、パウダースノーはサラサラすぎて、手で固まらないので雪だるまを作ったり雪合戦用の雪玉を作ったりできないくらいです。
そのくらい軽い雪なので、パウダースノーを滑ると独特の浮遊感を味わうことができ、多くのスノーボーダー、スキーヤーを魅了しています。中でも日本のパウダースノーは質がかなり高いため、「JAPOW(ジャパウ)」という愛称で世界でも人気になっています。
パウダースノーバーンの特徴
パウダースノーがサラサラで軽い雪ということはおわかりいただけたかと思いますが、その雪の上を滑るとなるとどんな感じになるのでしょう。
ここではパウダースノーを滑った時の特徴について解説していきます。
とにかく浮遊感がすごい
多くのスノーボーダーを虜にしている一番の理由とも言えますが、とにかく滑った時の浮遊感がすごいんです!
腰の高さくらいまで積もったパウダースノーの急斜面をスノーボードで滑り降りるときの感覚は空に舞い上がっているような感覚になります。
慣れるまではノーズが刺さりやすい
パウダースノーを滑った時の浮遊感はかなりの快感ですが、慣れるまではスノーボードのノーズがパウダーに刺さってしまいうまく滑れないことが多いでしょう。
いわゆる、埋もれる状態になります。
ノーズが刺さってしまう要因はスピードが足りなかったり、前に乗りすぎていたりいろいろあります。埋もれないような滑り方のコツは次の章で詳しくお伝えしていきます。
斜度を感じにくくなる
深いパウダーになると、斜度を感じにくくなります。圧雪されたピステンバーンだと急斜面すぎて滑るのが怖いくらいのバーンであっても、深いパウダースノーで未圧雪だと直滑降でも降りられるくらいの感覚になります。
むしろ、パウダーで緩やかな斜面だとスピードが落ちてしまい埋もれてしまうので、パウダーを練習するときはある程度斜度のあるところで練習するのがお勧めです。
転んでも痛くない
パウダーに慣れないうちは転んだり埋もれてしまったりすることが多いと思いますが、転んでも痛くないというのはありがたいですよね。
転んでも痛くないので、私も、いつもなら跳べないくらい大きな地形のジャンプ台も思い切ってチャレンジしてみようという気になります。着地の時のバランスを崩して転んでしまっても、全然痛くありません。
転ぶと立ち上がるのが大変
転んでも痛くないというのはパウダースノーのありがたいところなのですが、一度転ぶと立ち上がるのがめちゃくちゃ大変です。
普段、スノーボードで立ち上がるとき、雪面に手をついて立ち上がると思いますが、パウダースノーはさらさらふかふかなので、ついた手がずぶずぶと奥深くまで埋もれて行ってしまいます。
パウダーの中で転んでしまったら、まず自分の周りのふかふかの雪を固めて基盤を作ってから立ち上がるという作業をするのがお勧めです。
常にあるものではない
私たちがいる北海道のルスツ、ニセコあたりのエリアはパウダースノーが豊富で有名な地域ですが、それでも常にパウダースノーがあるというわけではありません。
ハイシーズンの1月2月であれば、極上のパウダースノーに大当たり!という日の確率は上がりますが、それでも100%パウダースノーに当たるというわけでもありません。
逆に、運が良ければ3月や4月でもパウダースノーに当たるときもあります。
どうしてもパウダースノーを滑ってみたい!という方は、パウダースノーが豊富にあるエリアのスキー場にハイシーズンに行き、なおかつできるだけ長めに滞在するようにするとパウダースノーに当たる確率が高くなります。
パウダー初心者がパウダーを滑るときのコツ
一度パウダースノーの浮遊感を味わったら、誰しもその虜になってしまうと思いますが、初めはうまく滑るのが難しいのがパウダースノーです。誰しもいきなりはうまく滑れませんので、少しずつコツを覚えてパウダースノーの魅力を味わっていってください。
では、パウダーを滑るときのコツを見ていきましょう。
まずはコース脇のパウダーで慣れる
初心者の方が「よし、パウダーを滑るぞ!」と言っていきなり未圧雪コースやサイドカントリーに行くのは危険ですので絶対にやめましょう。
危険な上に、楽しくなくなってパウダーが嫌いになってしまう恐れもあります。
まずは、コース脇にあるパウダーで練習していきます。コースは圧雪車でピステンをかけていますが、端っこのほうの圧雪車が届いていない部分は未圧雪状態になっているので、気軽にパウダーが味わえます。
コース脇なので、無理!と思ったらすぐにコースに戻ってこられるのが安心ですね。
後ろ足荷重が基本
スノーボードを始めたての頃、レッスンで「後ろに乗らないで」「前足に乗って」などと言われた経験がある方は多いでしょう。
実際、私たちもまったくの初心者の方をレッスンするときは、後ろに重心が乗らないようにお教えしています。後ろに重心があると板がうまくコントロールできなくなってしまうからです。
しかし、パウダースノーに関しては、後ろ足に重心を乗せて滑る後ろ足荷重が基本的な滑り方になります。
前足に乗ってしまうと、ノーズがどんどんパウダーに刺さっていってしまうので後ろ足に重心を乗せるよう意識しながら滑ってみましょう。
エッジを立てすぎない
後ろ足に重心を乗せるというのはパウダーの基本として聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、後ろ足荷重と同じくらい大切なのが、エッジを立てすぎないということです。
普通のピステンバーンでは、カービングなどエッジを立てて滑る滑り方を楽しんでいる方も多いですが、パウダースノーでエッジを立てすぎてしまうと、エッジが刺さりすぎて埋もれていきます。
スノーボードを始めたての頃のエッジをほとんど立てないスライドターンを思い出してください。雪面を斬るというより、パウダースノーをなでるように滑っていくのがポイントです。
ある程度スピードをつける
パウダースノーはスピードがないとノーズが刺さりやすくなる上にバランスを崩して転びやすくなります。
そのため、ある程度スピードが出る環境で練習していきましょう。スピードをつけるためには斜度が少しきつめのところで練習するのもアリでしょう。
セットバックを入れたセッティングにする
パウダースノーを気持ちよく滑るために開発されたパウダー専用のパウダーボードというものが売っていますが、初心者の方がいきなりパウダーボードを購入するのは少しハードルが高いですよね。
そんなときは、ご自身が持っている今の板のセッティングを少し変えてみましょう。
セットバックと言って、ビンディングを取り付ける位置を、板の真ん中よりもテール寄りにずらして設置すると、ノーズの長さがいつもより長くなるので、パウダーボードのようにノーズが刺さりにくい構造になります。
これだけでもかなりパウダーが滑りやすくなりますよ。
急に止まらない
ピステンバーンではエッジを立てて、きゅっと止まることができると思いますが、パウダーで急に止まるとほぼ間違いなく転びます。もしくは、パウダースノーが顔面に盛大にかかります。
パウダーを滑っているときに止まりたい、と思った時は、急に止まるのではなく、なめらかに大きくターンして徐々にスピードを落として止まるというイメージで練習してみてください。
慣れてきたらサイドカントリーに挑戦してみる
コース脇のパウダーである程度滑れるようになってきたら、サイドカントリーに挑戦してみるのもアリですね。
サイドカントリーはスキー場の中にあるものの、スキー場が圧雪などの管理をしていないバーンのことです。ゲレンデのリフトを使って気軽にアクセスできるバックカントリーのようなもの、とお考え下さい。
サイドカントリーは、完全未圧雪コースなのでパウダーを滑れるようになってきた方であればかなり楽しめると思います。
ただ、スキー場のリフトから気軽にアクセスできるものの、完全自己責任のエリアなのでできれば専門のガイドをつけて安全に楽しむことをお勧めします。
ガイドをつければ、その人のレベルに合わせてその人が存分に楽しめるエリアを選んで、安全に誘導してくれますよ!パウダーの滑り方も直接指導してくれるからお得!
初心者でも気軽に楽しめるパウダースノーがあるスキー場
先ほども触れましたが、パウダースノーはどこにでもあるわけではなく、パウダーが降りやすい地域とそうでない地域があります。また、スキー場によっては奥深くまでサイドカントリーで行かなければパウダーが滑れないというところもあります。
この章では、初心者の方も気軽にパウダーを楽しめるスキー場をご紹介していきます。
【北海道】ルスツリゾート
パウダースノーといえば、北海道!北海道の中でもルスツリゾートは特にパウダースノーが有名です。毎年、ルスツのパウダースノーを求めて国内からだけでなく海外からも多くのスノーボーダーやスキーヤーが訪れています。
パウダースノーが豊富にあるので、コース脇のパウダーだけでもかなりの満足感を得られるでしょう。
【北海道】ニセコエリア
ニセコは日本のパウダースノーの老舗エリアのような存在で、ルスツ同様、海外からも人気の高いパウダースノーエリアです。
ニセコには、花園リゾート、グランヒラフ、ビレッジ、アンヌプリなどいろいろなスキー場が隣接していて、どのスキー場もパウダースノーが豊富です。
長期間滞在する予定の方は、気軽に別のスキー場も楽しめるニセコエリアにするのもありでしょう。
【北海道】キロロスノーワールド
新千歳空港からは少しアクセスが悪いものの、キロロスノーワールドもパウダースノーが豊富にあるスキー場です。
コースとして「パウダーライド」という未圧雪コースが設置されていて、オープンバーンでのパウダーも楽しめますので、パウダーに慣れてきたらこちらのパウダーライドコースにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。
【岩手県】安比高原スキー場
続いては東北の岩手県にある安比高原スキー場です。
安比高原は多い日には10メートル近い積雪を観測する豪雪地帯です。「第1ザイラーコースA」や「カッコウコース」といった、パウダーを楽しめるコースもたくさんありますので、ご自身のレベルに合わせていろいろなコースに挑戦するのも楽しいですね。
【新潟県】上越国際スキー場
上越国際スキー場は、過去にワールドカップが開催されたこともある有名なスキー場です。
広さも東京ドーム約214個分の広さで、谷川連峰の絶景を望みながら味わうパウダースノーは最高そのものです。駅前からのアクセスがいいのもありがたいですね。
おまけ|パウダー好きが良く使うパウダー用語
パウダーにチャレンジするのであれば、パウダー用語も知っておくとより楽しさが増していくでしょう。ここでは、私たちがパウダースノー仲間とよく使っているパウダー用語について少しご紹介していきます。
・オフピステ・・・圧雪車で踏まれていない雪面のこと。未圧雪バーン。
・端パウ/脇パウ・・・圧雪コース脇にある圧雪されていない部分。パウダー初心者の方が練習しやすいエリア。
・羽パウ・・・羽のように軽い水分が極めて少ないパウダースノー。
・重パウ・・・水分多めの重いパウダー。気温が上がる3月くらいから重パウになりはじめる。
・脛パウ/膝パウ/ももパウ/腰パウ・・・それぞれ、脛、膝、もも、腰の高さまであるぐらいの深さのパウダー。
・残パウ・・・いろんな人が滑った後に残されたパウダー。ちょっと残念な気持ちになる。
・JAPOW(ジャパウ)・・・日本の上質なパウダースノー。毎年多くの外国人がJAPOWを求めて日本へ訪れている。
・食う・・・パウダーは「滑る」のではなく「食う」と表現する。ほかの人に滑られているパウダーエリアは「あのバーンは食われた」などと使う。
・ノートラ・・・ノートラックの略。誰も滑っていないパウダーバーン。ノートラを求めて30分以上前からリフトに並んだり、自力で板を担いで登ったりする人も少なくない。
まとめ
パウダースノーの特徴や滑り方のコツなどをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
皆さんも、パウダースノーの魅力を味わったら、スノーボードがますます楽しくなること間違いなしです。
最初、パウダーの滑り方に自信がなかったり、練習方法がいまいちわからないという場合は、パウダーレッスンを受けて滑り方のコツをマスターするのもお勧めです。パウダーの滑り方やレッスンの内容について、わからないことがあれば、お気軽に私たちに相談してみてくださいね。
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