「今年もスノーボードに行くぞ~~」と思ってスノーボードのアイテムを押し入れから出してきたものの、
「あれ?この板って10年前に買ったやつじゃ…」
「そろそろ買い替えたほうがいいかな?」
「スノーボードの板の寿命って何年くらい?」
などいろいろと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
スノーボードのアイテムは数千円で買える安いものではないので、なかなか買い替えを悩んでしまうと思います。
そこで今回は、現役A級インストラクターの私たちが、スノーボードの寿命や、買い替え時を見極めるコツ、そして長く愛用するためにできるメンテナンスについて詳しくお伝えしていきたいと思います。
この記事をお読みいただき、今の板がまだ使えるのか、買い替えはいつにすべきか、などの参考にしていただければと思います。
スノーボードの板の寿命は?
目安の寿命年数
早速スノーボードの板の寿命についてですが、特に決められた耐用年数というものはありません。
そもそも板の寿命とは何かということですが、使用することで劣化が進み、板がヘタってきて張りがなくなると「寿命が来た」ということになります。
そのため、スノーボードの板は、買ってからの年数ではなく毎シーズンの使用頻度や使用の仕方のほうが寿命に大きく関係していきます。一応の目安としては滑走日数が50日程度を超えると寿命が近づいているので買い替えたほうがいいとされています。
板の寿命は年数よりも使用方法で大きく変わる
先ほど、スノーボードの板の寿命は買ってからの年数ではなく使用頻度や使用方法によって変わるとお伝えしましたが、少し具体的に見ていきましょう。
たとえば
☆Aさん…1シーズンで1,2回スノーボードに行き、5年間同じ板に乗っている
☆Bさん…1シーズンで100日間スノーボードを滑り、先シーズン買った板に乗っている
の2人で考えると、明らかにBさんのほうが寿命を超えた板に乗っていることになります。
話だけ聞くと「5年前に買った板」と「先シーズン買った板」では前者の方が古くて買い替えたほうがよさそうに感じますが、使用頻度を考えると5年前に買った板のほうがまだまだ現役で使える板なのです。とはいえ、5年前ともなると、使用頻度が低くても劣化は進んでいますし、最新モデルに比べたらデザインも機能も劣ってしまうため、買い替えたほうがいいに越したことはありません。
また、使用方法についても具体的に見てみましょう。
たとえば
☆Cさん…1シーズンで滑走日数が30日程度で毎回ゆったりとフリーランを楽しんでいる
☆Dさん…1シーズンで滑走日数が30日程度で毎回がっつりグラトリを練習している
の2人で考えるとどちらも目安の50日という滑走日数は超えていないものの、Dさんはグラトリで板を酷使しているため、寿命を迎える時期がかなり早まります。1シーズンで板を買い替えたほうがいいでしょう。
このように、一概に買ってからの年数が経っているから買い換えるという必要もないですし、逆に最近買ったからまだまだ大丈夫、というわけでもないのです。
僕たちは仕事でもプライベートでもスノーボードを滑るので年間滑走日数が100日以上になりますし、グラトリもカービングもツリーランもするので新品の板を買っても1年で寿命を迎えてしまいます( ;∀;)
私の友達で「1シーズンで3回滑れば多いほうだ」という子がいて5年以上前の板に乗っていますが、めちゃくちゃ状態が良くヘタリも無いです(笑)改めて自分がいかに板を酷使しているのかを実感します…。
買い替えのサイン
板を買い替えようかどうか悩んでいる方は、買い替え時のサインについても知っておくといいでしょう。
買い替えサイン1
1つは、先ほどお伝えした滑走日数が50日を超えたかどうかです。特に、グラトリやカービング、キッカーやツリーランなどで板を酷使することが多い方は、滑走日数50日を超えると確実に板がへたってきて反発がもらえなくなっているはずなので、買い替えるのをおすすめします。
買い替えサイン2
次に、板の状態としてエッジや表面にヒビが入っていたり、割れがあったりする場合は、滑走日数50日という目安を待たずに買い替えを検討したほうがいいでしょう。ヒビや割れがある板のまま滑っていると滑っている最中に板が割れるなどの危険が及ぶ可能性があります。
保証書があって保証期間中であればスノーボードショップで無料もしくは半額などで修理してくれることもありますが、保証期間を過ぎている場合、修理にかなりお金がかかることもあります。そうなると、いっそ新しい板に買い替えたほうが費用的にも気分的にも良いと思います。
買い替えサイン3
最後の買い替えサインは、なかなか思うような滑りができなくなってきたときに、板の買い替えを検討するのがおすすめです。
カービングにしてもグラトリにしてもキッカーを跳ぶにしても、必ずスノーボードの板の反発を利用してトリックを行います。しかし、板の寿命が近づいてくると板の反発が徐々に弱くなってしまい、思うような滑りができなくなってきてしまいます。
せっかく一生懸命練習しているのに思うような成果が出ず、自分の理想のスタイルができなくなってしまったらつまらないですよね。スノーボードのさらなるステップアップのためにも、買い替えを検討してみるといいでしょう。
私も、前シーズンから乗っている板で練習をしていたとき、思うように滑ることができず悩んだ経験がありますが、思い切って板を買い替えてみると一気に練習の成果が表れたことがあります。「弘法筆を選ばず」とよく言いますが、スノーボードに関して言えば「弘法筆を選ぶべし」なのです。
寿命を過ぎたスノーボードの板を使うのは絶対ダメ?
「スノーボードの寿命が来ている気がするけど、今すぐに買い替えるのは難しいから今シーズンはこの板でいこうかな」と考えている方もいると思います。
寿命が過ぎてしまったスノーボードの板を使ってもいいのかどうかについては、普通に滑るだけであれば可能です。むしろ、へたっているのでスノーボードを始めたばかりの初心者の方にとっては扱いやすくなっているでしょう。
ただし、先ほども触れたように、エッジやソールにヒビが入っていたり、割れがあったりすると滑走中に板が破損して危険な場合がありますし、エッジが引っかかって滑りにくくストレスが大きくなります。
そのため、目に見える傷がある場合はすぐに買い替えることをおすすめします。
また、グラトリやカービングをメインで滑る方は、寿命を過ぎた板だと反発をもらえなくなっているので、楽しさが半減してしまいます。絶対にその板で滑ってはいけないわけではありませんが、できるだけ早く買い替えたほうが楽しく滑ることができますよ。
「まだこの板、使えるしな~」と買い替えを迷っている方は、試乗会で新しい板を体験してみるのもアリだと思います。試乗会で最新の板に乗ってみれば買い替えの決心がつくかもしれませんよ。
なぜスノーボードの板は劣化していってしまうのか
スノーボードの寿命は板の劣化が積み重なって迎えることになりますが、板が劣化してしまう原因は何なのでしょうか。
1つは、滑走中に板を踏んで反発をもらうことでへたりが進んでいきますし、ツリーランなどで板を木にぶつけることでも劣化を招いてしまいます。そしてもう一つは…。
本当に怖いのは保存期間中の劣化
滑走中以外の劣化を進めてしまう原因は保存期間中にあります。むしろ、保存期間中の劣化のほうが寿命に大きく影響するとも言えます。
劣化の原因は空気中の酸素と水分です。スノーボードのソールはポリエチレンやカーボンという素材でできていますが、酸素はポリエチレンやカーボンを酸化させて劣化させてしまいます。また、酸素と水分によってエッジの金属部分の酸化も招いてしまい劣化が進んでいきます。
金属である鉄の場合の化学式としては以下のようになります。空気中の酸素と水が鉄と反応し、錆びである酸化鉄に変わり、同時に熱を発生させます。このときの熱によって変形も起こってしまうのです。
ちなみに、少々複雑ですが、ポリエチレンの劣化についての化学式はこんな感じです。
ん、ん、あーーーね、あーーー・・・
なるほどね、なるほどなるほど・・・・(´◉◞౪◟◉)。
とりあえず、正しく保管しないとオフシーズンの間に酸素と水分で劣化が進んでしまうことだけ抑えてもらえればOKです(笑)
スノーボードの寿命を縮めないためには、保存期間中の対策が肝になってきます。また、酸化が進みやすい条件として、高温度で直射日光にさらされるときとされています。特に高分子素材ほど劣化が速いので、高価な板ほど扱いには注意しなければなりません。
シーズン中の板の扱いにも注意しよう
滑っているときに板を木にぶつけてしまうことや、グラトリの練習で板に負荷をかけてしまうのは、仕方のないことですし、それはどうしようもありません。
ですが、シーズン中でも気を付けて板の劣化を防ぐポイントはあります。
酸化が進みやすい条件の一つに直射日光がありましたね。そのため、休憩中などで板を置いておくときに板の向きに気をつけるといいでしょう。大抵は休憩所の外に板を立てかけて置く場所がありますが、直射日光が当たらない向きに置くように気を付けてみてください。
また、滑り終わって帰ってから板をしっかりと乾かして水分をできるだけ取り除くことも劣化を進めないために大切です。
板を長く愛用するためのメンテナンスについてはのちの章でも詳しく解説していきます。
スノーボードの板以外のアイテムの買い替え時は?
ここまでで、スノーボードの板の寿命や買い替え時の見極め方についてみてきましたが、その他のアイテムについても気になりますよね。
この章では、アイテムの中でも特に消耗が激しいスノーボードブーツとビンディングの買い替え時についてみていきましょう。
スノーボードブーツの買い替え時
スノーボードブーツも板と同様、買ってからの年数というよりも使用頻度によって買い替え時が変わってきます。
使用頻度が高ければ、ソール部分が剥がれてきたり、足を固定できる硬さがなくなってきたり、外側が擦れて破れたりしてきます。板と同様「へたって」きます。
ブーツがへたってくると、固定する力がなくなってくるのでハイスピードで滑っているときの安定感がなくなってきますし、カービング性能も悪くなります。また、保温性がなくなってきたり、雪の水分も中に侵食しやすくなったりします。
目安としては、板と同様滑走日数が50日を超えると買い替え時と考えたほうがいいでしょう。
ただ、へたってきたブーツのほうがちょうどいい柔らかさになってグラトリなどのトリックはやりやすくなります。新しいブーツを買っても予備としてグラトリ用のサブブーツで取っておくのもいいかもしれません。
ビンディングの買い替え時
ビンディングは部品が壊れたときが買い替え時といえるでしょう。特にストラップの部分は使用頻度が高くなれば高くなるほど壊れたり切れたりしてしまいます。
ストラップが切れた状態で滑り続けるとケガにつながりますし、スノーボードの上達の妨げになりますので、買い替えましょう。
なお、板を持ち運ぶ時は、必ずビンディングのストラップを装着した状態にしておいてください。ビンディングのストラップを外したまま持ち運んでしまうと、遠心力でストラップが激しく揺れ動いてかかる負荷が大きくなり、ストラップの寿命が超ハイスピードで無くなっていきます。
OKな例
NGな例
もしビンディングが壊れてしまっても全部を捨ててしまうのはもったいないです。壊れたビンディングは分解することでそれぞれの部品を別で活用することができます。もし別のビンディングが壊れたときは、取っておいた部品を移植して応急処置的に使うことができますよ。
旅行中にビンディングが壊れてしまった時などは、すぐに買いに行くことができないですよね。そんなときは予備のストラップの部品を持っておくことでその場で応急処置をしてビンディングを使い続けることができます。
スノーボードの板を長く持たせるためのお手入れ方法
スノーボードのアイテムはすべて消耗品ですので、いつかは買い替えなければいけないときがきます。しかし、できればお気に入りの板を長く使い続けたいですよね。
ここでは、スノーボードの板を長く愛用するために行うべきお手入れの方法をお伝えしていきます。
シーズンインする前にワックスをかける
冬に入りスノーボードに行くことが決まったら、出発前にワックスをかけておきましょう。ワックスをかけることで、ソールの保護になりますし、滑りが良くなって気持ちよくゲレンデを滑ることができます。
ワックスを塗らずに滑ると、木の枝や小さい石の上を滑ってしまった時にダイレクトに板が傷ついてしまいますし、雪面抵抗によって摩擦が起きて板が毛羽立ってしまいます。
シーズン中の劣化をできるだけ抑えるためにもワックスをうまく活用しましょう。
滑走日数が多い方は、10~15回滑ったらワックスをかけ直すと、よりいい状態で板を使い続けることができますよ。
使用後にしっかりと乾かす
スノーボードから帰ってきたら、板を軽く水洗いしてからしっかり乾かしましょう。
なお、乾かすときは太陽にあてて乾かすのではなく、屋内や日陰で乾燥させるようにしてください。太陽からの直射日光や紫外線は劣化を進める原因になってしまいますし、変形の原因にもなります。
また、スノーボードブーツはインナーを外して乾かすと早く乾きますし、隅々まで乾いて衛生的ですよ。
ブーツはインナーを外さずに乾かしてしまうと、乾くのに時間がかかる分、雑菌が繁殖して臭くなります。(しかもめちゃくちゃ臭くなります。)臭くなったブーツを履くと当然足も臭くなって家庭での居心地が悪くなりますので、必ず皆さんはしっかり乾かしてください。
シーズンアウト時にもワックスをかける
スノーボードのシーズンが終わって、もう来年まで滑らないとなったら、保管する前にワックスをかけましょう。
これは、来シーズンのはじめにワックスをかけずに済んでラクできるからという意味ではなく、ソールが酸化して劣化するのをワックスが防いでくれる効果があるからです。
長期間保存する場合には、いつもよりも厚めにワックスを塗っておくといいでしょう。
シーズンアウト時はビンディングを外す
長期間保存する際はビンディングを外して保管することも重要です。ビンディングを付けっぱなしで保管してしまうと、ビンディングを取り付ける部分が錆びてしまったり、板が変形してしまったりする原因になります。
こうなると板もビンディングもダブルでダメになってしまうので、必ずビンディングは面倒でも外して保管してください。
なお、まだシーズンの最中でスノーボードに行く予定があるときであっても、次の予定まで保存する際にビンディングのネジを緩めておくと、板の劣化を少しでも抑えることができるので寿命を延ばすことができますよ。
屋内で高温多湿を避けて保管する
いよいよスノーボードの保管になりますが、板を保管する場所の温度と湿度と直射日光があたるかどうかを考えて保管してください。
ご自宅によっては屋根裏部屋の収納スペースや屋外の物置きがあるご家庭もあるかと思いますが、そのような場所は高温多湿になる可能性が極めて高いため、スノーボードの劣化が進んでしまいます。
屋内の高温多湿にならない場所を選んで保管するようにしましょう。紫外線が心配な方はソールカバーをかけておくのもいいですね。
スノーボードの板を買い替えるとなったらどうすればいい?
今回の記事を読んでいただいた方の中には「もうこの板は寿命で買い替えたほうがいいかな」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
では、新しい板に買い替えるとなったら、古い板はどうすればいいのでしょうか。
新しい板を購入する店に無料引き取りを頼む
新しい板を買う場合は、板を買うお店に無料で引き取ってもらえないかどうか確認してみましょう。おそらく、大手のスノーボードショップであれば引き取ってもらえるはずです。
もし引き取ってもらえなかった場合は次からの選択肢も検討してみてください。
粗大ごみに出す
悲しいですが、ごみとして処分する選択肢もあります。
スノーボードは、粗大ごみ扱いになるので、お住まい地域の廃棄物処理センターまで持参して処分してもらいます。処分にかかる料金は地域ごとに異なるのでご自身で確認していただくことになりますが、数百円程度で可能です。
これまで愛用して乗っていたスノーボードが「ごみ」扱いされるなんて耐えられない!!という方は、次からご紹介する方法で次なる人生を歩ませてあげてください。
リサイクルショップで売る
最近はSDGsというものが流行っていますし、リサイクルで再利用してもらうのもおすすめです。
スノーボードの板は中古品であっても一定の需要があり、人気のアイテムなので買い取ってもらえる確率が高いです。リサイクルショップの店舗によっては、ウィンタースポーツ用品の買い取りを強化しているところもありますので、ネットで近場のリサイクルショップを調べてみるのもいいですね。
使っていた板が人気のブランドやモデルであれば、想像以上の金額で買い取ってもらえる可能性もありますよ。
売る時期としては、秋から冬に入る直前の時期がおすすめです。ウィンタースポーツの需要が高まってくる時期なので、買い取りを強化していて買値も高くつきやすいです。
フリマアプリで売る
リサイクルショップの他にもフリマアプリに出品して売るという方法もおすすめです。
フリマアプリでは、ご自身で売り出す板の写真を撮影したり、売り出すための文章を考えたりしなければならないので、リサイクルショップより手間がかかってしまうというデメリットはあるものの、自分で販売価格を設定することができますし、個人間の売買なのでマージンを最小限に抑えて自分の希望額で販売をすることが可能です。
売り出すための手間がめんどうな方はリサイクルショップに、少しでも高く売りたい方はフリマアプリで出品するのがおすすめです!
友人に譲る
周りにスノーボードを始めたいという方や、自分の板がほしいと言っている方がいれば譲るというのも1つの方法です。
スノーボードを買うとなると、中古品や型落ちであっても相応の値段がしますので、無料であれば譲ってほしいという人も少なくありません。
サブ板として予備で取っておく
ヒビが入っていたり、割れがあったりなど使用に大きな問題があるわけではない場合、ご自身のサブ板として取っておくのもアリです。
カービング用に買った硬めの板がへたってしまったので買い換えるという場合、グラトリ用の板としてはまだまだ使える可能性があります。また、新しく買い替えた板を木にぶつけてすぐに使えなくなってしまう可能性もゼロではありません。
粗大ごみとして捨ててしまうくらいであれば、もしものときのために、予備の板として持っておくのもおすすめですよ。
まとめ
今回は、スノーボードアイテムの寿命や、買い替え時期を見極める方法、長く使うための手入れ方法などについて解説してきました。
寿命の目安として滑走日数が50日以上というものはありますが、使用頻度やスノーボードのスタイルによって大きく変わってきますので、一概に言えないところが難しいところですね。
今の板を使い続けるのか、それとも買い替えるのかは、目安の日数と合わせてアイテムの状態を見ながら判断していくのがいいでしょう。
こちらのブログでは、スノーボードアイテムについての疑問や質問だけでなく、滑り方のコツやお悩みのご相談もお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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