スノーボードに行くときのアイテムとしてニット帽を持っていく方は多いと思います。
ニット帽、またはビーニーという呼ばれ方をしますが、ニット帽は普段使っているものでもいいのでしょうか。それともスノーボードに行くならスノーボード用のニット帽を用意したほうがいいのでしょうか。
特に初心者の方は、どんなニット帽を持っていくのが良いのか、スノーボードブランドの帽子を買ったほうがいいのか迷ってしまうと思います。
今回は、現役スノーボードインストラクターの私たちが、スノーボードで使うニット帽の選び方のポイントやおすすめのブランド、転んだときに帽子が飛ばない被り方のコツについてお伝えしていきます。
普段使っているニット帽でもいいの?
スノーボードに行くときの準備をしているとき「ニット帽は普段使っているニット帽を持っていけばいいかな」と思う方は多いでしょう。
結論、普段使っている(もともと家にある)ニット帽でもスノーボードはできます。板やブーツ、ゴーグルなどと違い、必ず買い揃えなければいけないものではありません。
ただ、注意点としては
・生地が薄くて頭が寒い
・サイズがフィットせず転んだとき帽子が吹っ飛ぶ
・雪で濡れて帽子が伸びてしまう
などのトラブルが起こりえることです。
ゲレンデはエリアや時期にもよりますが、-10℃~-15℃になることもしばしばですので、街中用のニット帽だと寒すぎて耐えられない可能性があります。
また、街中用のニット帽はだぼっとおしゃれに被るようにできているものも多いため、スノーボードで使うと大きすぎて転ぶとすぐに飛んでしまいます。転んだり、雪が降っている中スノーボードをしたりするとニット帽に雪が付き、その雪が解けて、凍って…を繰り返すことで生地が伸びやすくなる場合もあります。
その点、スノーボード用のニット帽は、ゲレンデなど極寒地で使うことを想定しているので生地も適していますし、生地が伸びないように細かい網目になっていたりします。
普段使っているニット帽をスノーボードで使うことはできるけれど、少々使いにくい場面もある、と覚えておくといいでしょう。
「スノーボードは帽子無しがかっこいい」は、嘘
スノーボードをする方の中には「帽子はなくても大丈夫」と思っている方もいるでしょう。中には、「ヘアスタイルが崩れるし帽子はないほうがかっこいい」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、スノーボードをするうえで帽子は必需品です。帽子は、防寒グッズとしての役割ももちろんありますし、転んだときに頭を衝撃から守るという大切な役割を担っています。
-10度のゲレンデで帽子無しで滑っていれば、寒すぎて頭と耳が痛くなってしまいますし、最悪の場合、凍傷になってしまうリスクもあります。
また、いくら雪が柔らかいとはいえ転んだときの衝撃を考えればケガにつながってしまいます。もちろん、ヘルメットのほうが安全性は高いですが、ニット帽でもケガの対策になります。
帽子をつけずにスノーボードをしている人を見て「かっこいい」と思う人は稀で、ほとんどの人が「寒そう」と思います。帽子は必ず被って安全にスノーボードを楽しみましょう。
スノーボード用ニット帽の選び方
ここからは、スノーボードに適したニット帽の選び方を解説していきます。ニット帽に種類があるの?と思うかもしれませんが、使われている素材やニットの編み方、形状によって保温性や速乾性、機能性は違ってきます。
それぞれの特徴をつかんで、自分に合うニット帽を探してみてください。
素材で選ぶ
ニット帽を選ぶ際、まずは素材をチェックしてみましょう。スノーボード用に作られたニット帽は主にウール、アクリル、ポリエステル、コットンの4種類の素材でできています。
それぞれの特徴としては
ウール・・・保温性、吸湿性に優れている
アクリル・・・肌触りがいい、速乾性が高い、型崩れしにくい
コットン・・・水に強く耐久性が高い
ポリエステル・・・耐久性が高い、水に強く型崩れしにくい
です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
ウール
スノーボード用に作られたニット帽のなかで最も保温性に優れているのがウール素材の帽子です。人より寒がりな方や標高の高いゲレンデに行く場合はウールのニット帽がおすすめです。
ウールは保温性が高いだけでなく、伸縮性や吸湿性にも優れていますので汗をかいてしまったときも安心です。
アクリル
アクリルは、ウールのような保温性を保ちつつウール特有のチクチクした感じがないので肌触りがいいのが特徴です。また速乾性が高いため、帽子に雪がついてしまっても乾きやすいのでかなり扱いやすいです。耐久性があり型崩れしにくいので長く楽しめるのもポイントです。
コットン
コットン素材のニット帽はほかのものに比べると保温性は高くないものの水に強く耐久性が高いので、春シーズンにスノーボードをする方におすすめの素材です。
肌触りがよく肌に優しいのでお子様にもおすすめですね。
ポリエステル
ポリエステルは耐久性が高く、洗濯をしても型崩れしにくいのが特徴です。速乾性があり水に濡れても乾きやすいのもうれしいポイントです。ポリエステル素材のニット帽は比較的安く手に入るのも魅力ですが、その反面、静電気が起きやすいという難点もあります。
裏地で選ぶ
帽子の裏地の素材によっても保温性や肌触りの感覚が変わってきます。帽子全体が同じ素材でできているものも多いですが、裏地だけ別の素材を使っているものもあります。
裏地として使われることが多いのは「裏起毛」と「フリース」なので、その2つの素材について特徴を見ていきましょう。
裏起毛
裏起毛はとにかく保温性が高いので、防寒対策をしっかりしたい方におすすめです。裏地に裏起毛が使われているニット帽は縫い目の部分などから冷気が入ってしまう心配もありませんので保温性が格段にアップします。
フリース
フリースが裏地として使われているニット帽は通気性に優れているので汗をかいても不快に感じにくいというメリットがあります。また、濡れても乾きやすいのでゲレンデにはぴったりですね。
形状で選ぶ
ニット帽とひと言で言っても形はさまざまです。耳当てがついているものやつば付きのものなど形状が変わると使い勝手も変わってきます。
自分にとっての使いやすい帽子を見つけてみましょう。
ノーマルタイプ
ニット帽といえばこの形を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
スノーボード用のニット帽もこのノーマルタイプを被っている人が多く、王道のタイプと言えます。シンプルな形状な分、各ブランドからいろいろなカラーやデザインが出ているので選びやすいです。
また、ノーマルタイプには、裾に折り返しのあるタイプと折り返しがないタイプがあります。折り返しがあるタイプは、小顔効果が期待できますが、スノーボードで使うとゴーグルがひっかかってしまうこともあるのが難点です。折り返しがないタイプは、伸縮性があるため頭にしっかりとフィットしてくれます。折り返しがあるタイプとないタイプは好みが分かれるので、実際に試着してみてから決めるのでもいいでしょう
いずれにしても、ノーマルタイプはシンプルなので、特にいろいろなことを考えて選ばなくてもどんなウエアや服にも合わせることができるのも特徴です。どの帽子が良いか迷ったら、まずはノーマルタイプから探してみるのが間違いないでしょう。
つば付きタイプ
つば付きタイプのニット帽は、ひさしが付いているので多少の日焼け防止の効果があります。街中ファッションにも合うデザインなので、ゲレンデに行くまでの服装のときもニットを合わせておしゃれを楽しめるでしょう。
ただし、つばがある分、ゴーグルのつけ外しの際に邪魔になってやりにくいので、初心者の方にはおすすめできません。また、スピードを出して滑るという方はつばが風にあおられて帽子が脱げてしまう恐れもあります。
日焼け防止の効果があるとお伝えしましたが、天気のいいゲレンデの紫外線は想像以上に強いので、微々たる日焼け防止効果しか期待できません・・・。
耳当てタイプ
スノーボードをしていると耳が寒いと感じることが多いと思いますが、耳当て付きのタイプなら、耳まで温かく快適に過ごせるでしょう。
また、耳当てタイプはファッション的にもおしゃれな雰囲気を出すことができるので、ゲレンデのファッションも楽しみたい方にもおすすめです。
耳当てタイプの中には帽子のトップ部分で耳を上げて固定できるタイプもあるので、2WAYで楽しむこともできますよ。
難点としては、耳当てタイプの種類によっては耳あての下の方にボンボンがついているものもあり、滑走中に邪魔になる可能性があるというところです。ボンボンがついていない耳当てタイプのものも、多くがつば付きになっているのでゴーグルのつけ外しは面倒になってしまうかもしれません。
そういった点で、耳当てタイプは初心者の方には向かないのではないかと思います。
サイズをチェック
スノーボード用の帽子を選ぶ際は、サイズもしっかりと確認しましょう。サイズが自分に合っていないと、小さすぎて頭が痛くなってしまったり、大きすぎて転んだときすぐに外れてしまったりという可能性が出てきてしまいます。
インターネットで買うとサイズのチェックが難しいので、できればショップで直接見てから買ったほうが安心でしょう。
サイズをチェックする際は
・耳までしっかり隠れる深さがあるか
・ゴーグルをつけるときにおでことゴーグルの間に隙間ができないか
・緩くないか
の3点を重点的に確認してください。
言うまでもなく、耳が隠れないくらいのサイズだと、スノーボード中に耳が寒くなってスノーボードに集中できなくなってしまいます。
また、ゴーグルをつけるときにおでことの間に隙間ができてしまうと、おでこがめちゃくちゃ寒くなってしまい、頭まで痛くなってきます。
反対にゆるすぎるサイズだと、転んだとき、特に逆エッジになってしまったときに間違いなく帽子がゴーグルごと吹っ飛びます。(ゆるい帽子をかぶってきてしまった生徒さんの帽子が吹っ飛ぶのを何度も目撃しています・・・。)
帽子が吹っ飛ぶだけならまだかぶりなおせばいいのですが、ゴーグルまで一緒に飛んでしまうと、中に雪が入ってきて曇りの原因になってしまうので、なかなか厄介です。
防寒対策を踏まえつつ、転んでしまった時に帽子が吹っ飛ばないように、サイズ感はしっかりと事前に確認してから購入するのがおすすめです。
伸縮性をチェック
帽子の伸縮性は大切なチェックポイントです。
伸縮性のある帽子だと、帽子をかぶった時にしっかりと固定してくれますので保温効果アップにもつながります。
また、伸縮性があれば、頭にフィットするので、転んだ時に帽子が飛んでしまうのを防いでくれる効果もあります。「サイズをチェック」のところでもお話ししましたが、一度帽子が取れてゴーグルまでGoodByeしてしまうと、そのあとが本当にめんどくさいんです・・・。
伸縮性のあるものを選んでおけば、防寒性をはじめいろいろな面で便利になります。
デザイン
スノーボードのときに着ける帽子は、防寒対策もケガ防止の役目も果たしているので、機能性はもちろん大切ではありますが、なんだかんだ言ってデザインは大切です。
帽子は顔周りにあるので、トータルコーディネートの印象にかなりかかわってきますので、ご自身が好きなデザインのものを選ぶといいでしょう。
ただ、形状が変わると機能性が大きく変わってきますので、できれば柄や色などでデザインを重視していくほうがいいと思います。
ウエアの色と合わせて全体的にまとまりをもたせてもおしゃれですし、あえてウエアとは全く違う色やデザインを取り入れても帽子が目立つので上級おしゃれになりますよ。
スノーボード用の帽子を選ぶ時の注意点
ここまででスノーボード用の帽子の選び方についてお伝えしてきましたが、いくつか注意点があります。
買った後にゲレンデで後悔しないよう、ぜひ注意点も確認しておいてくださいね。
つば付き帽子は注意が必要
つば付きタイプの帽子は、おしゃれな雰囲気になるので人気のタイプではありますが、機能的な面でゴーグルの上げ下げの時に邪魔になってしまう恐れがあります。
また、つばの部分が雪で濡れている状態でゴーグルをつけてしまうと、ゴーグルの上部にある空気の抜け道がふさがれてしまいゴーグル内の熱気が外に逃げづらくなってしまいます。
結果的に、ゴーグルの内側が曇りやすくなるので、滑走の妨げになってしまいます。このような使い方をすると、いくら曇りにくいゴーグルであっても曇ってしまうので、つば付き帽子を選ぶ時はそのあたりを認識したうえで選ぶようにしましょう。
関連記事:スノーボードゴーグルの正しい選び方とおすすめブランド|曇らないコツも紹介
網目が荒いのも要注意
網目が荒い帽子だと、ほぼ間違いなくゲレンデで寒い思いをすることになります。風通しがいいので春シーズンのスノーボードにはいいかもしれませんが、ハイシーズンのゲレンデでは寒いのであまりおすすめしません。
また、網目が荒い帽子だと、雪がつきやすくなってしまい、乾かすのが大変です。スノーボードで使う帽子を選ぶ時はできるだけ網目がしっかりしていて生地が詰まっているものを選ぶ方がおすすめです。
可愛い系の帽子は要注意
いわゆる「可愛い」と思える帽子もスノーボードで使う際は注意が必要です。
頭のてっぺんにボンボンがついているものや、ファーがあしらわれているもの、耳あての下の部分にボンボンがついているものなどは、滑っていると邪魔に感じてしまうことがほとんどです。
特に頭のてっぺんにボンボンがついていると、転んでしまった時にボンボンが受ける遠心力で帽子が吹っ飛んでしまう可能性が高くなります。また、ヘルメットをかぶるとなったときにも干渉して頭がいたくなってしまいますので、ショップで見て「可愛い!」と思っても、実際に使う場面を想像してから買うかどうかを決めるのが安心です。
転ぶと帽子が吹っ飛ぶ問題!どう解決するのがいいの?
今回の記事で何度もお伝えしている「スノーボードで転ぶと帽子が吹っ飛ぶ問題」ですが、帽子だけに防止する方法はないのでしょうか。
結論から言いますと、帽子が吹っ飛ぶ問題を100%防止する方法はありません。私たちインストラクターも、カービングやグラトリやパークなどで練習していて失敗すれば、帽子が盛大にはるかかなたに吹っ飛ぶことは多々あります。(そういうときは心の中でGoodBye My beanieと言っています)
ですが、できる限り帽子を吹っ飛ばせたくない!という方のために、この章では、私たちが実践している方法をご紹介したいと思います。私たちだけでなく、周りのインストラクターにも聞いてみたので、ぜひ参考にして実践してみてくださいね。
・バラクラバを装着してから帽子をかぶる
・深めにかぶる
・できる限り頭にフィットするピッタリサイズを選ぶ
・ゴーグルが緩まない状態でしっかりつける
・最終手段、フードを被るorヘルメットで押さえつける
最終手段のヘルメットで押さえつける以外、転び方によってはゴーグルごと帽子が吹っ飛んでしまうことはありえますが、これらの対処法でかなり軽減されます。(少なくとも飛距離は縮まります。)
ただ、フードを被ると視界が悪くなってしまうので、特に初心者の方は注意してください。
これらの対処法はお金をそれほどかけず実践できる方法ばかりなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
関連記事:バラクラバはスノボの必需品|選び方とバラクラバのおすすめブランド
スノーボード用ニット帽のおすすめのブランド
ここからは、スノーボード用のニット帽としておしゃれで機能性も高い帽子のブランドをいくつかご紹介していきたいと思います。
Patagonia パタゴニア
パタゴニアのニット帽は個人的にいちばんおすすめです。保温性が高い上に通気性も高いため、汗をかきやすいレッスンのときも、寒い状況になるバックカントリーに行くときも重宝しています。
また、雪が付きにくい素材なので、雪が降っているときも濡れて頭が冷えてしまうという心配もありません。
色もビビットなものからシックなものまでいろいろありますので、ぜひお好みのものを見つけてみてください。
THE NORTH FACE ノースフェイス
老若男女問わず愛されているアウトドアブランドのノースフェイスもニット帽のラインナップが豊富でおすすめです。どちらかというと、ベテランのスノーボーダーに多く愛用されている印象です。
ノースフェイスはシンプルかつおしゃれなデザインが人気ですが、ニット帽も他のアイテム同様、シンプルでスタイリッシュでおしゃれです。また、完成度は高いのに良心的なお値段というところもうれしいですね。
BURTON バートン
帽子はもちろん、ウエアや板、グローブの記事でもご紹介しているバートンは、スノーボードをしている人ならだれでも知っているブランドでしょう。
バートンのニット帽は、スノーボード用の帽子はもちろんですが、ファッションを重視した普段使いの帽子としても人気があります。
シンプルなデザインの物から、派手めのデザインまで幅広くラインナップがありますので、自分の好みに合った帽子が見つけやすいでしょう。
OAKLEY オークリー
サングラスやゴーグルなどスノーボードを含めたアイウエアで人気の高いオークリーもおしゃれな帽子をたくさん出しています。
個人的には、シンプルなロゴ入りのデザインの帽子がおしゃれでおすすめです。ゴーグルをオークリーのものを使っている方は、帽子とゴーグルのブランドを合わせるとかなり上級おしゃれを楽しめますよ。
COAL コール
ニット帽をメインにした帽子専門のブランドのCOALもおすすめのブランドです。
シンプルなデザインながらもしっかりと存在感があり、多くのスノーボーダーから愛用されている帽子です。素材も良いので被り心地も良く、快適にスノーボードを楽しめるでしょう。
カラー展開も多く、デザインも豊富にありますので、選んでいてもとっても楽しいですよ。
mont-bell モンベル
アウトドア愛好者の味方、アウトドア界のユニクロとも称されるモンベルから出ている帽子は、低コスト高品質のニット帽として定評があります。
特に、保温性とストレッチ性に優れているのでスノーボードをするときにはかなり使いやすいと感じるでしょう。登山やキャンプの時にも使いやすいので、アウトドア全体が好き、という方に特におすすめのブランドです。
まとめ
スノーボードをする際は、お手持ちのニット帽でも使うことはもちろん可能ですが、フィット感だったり、保温性だったりという細かいところで違いが出てしまいますので、もし選ぶ余裕があるのであれば、スノーボード用の適した帽子を入手しておくのがおすすめです。
帽子はスノーボードをするうえでもファッション性を左右しますので、ぜひ着けていてテンションの上がる好みの帽子を見つけていただければと思います。
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