冬になると、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが楽しみになってきますよね。風を切って大自然の中を滑り降りるのは、スキーやスノーボードならではの楽しみです。
しかし、特にスノーボードは転んだときにケガにつながることも少なくなく、しっかりと備えておかなければ万が一のときに高額なお金がかかったり、取り返しのつかない事態になったりする可能性もあります。
そんなケガや事故に備えることができるのがスキー・スノーボード保険ですが、みなさんはちゃんと保険に入っていますか?
スキー・スノーボード保険と一言で言っても色々な会社の保険がありますし、値段もタイプもたくさんあるので、どれに入るか迷ってしまうと思います。
そこで今回は、そもそもスキー・スノーボード保険に入る必要はあるのか、保険に入るとどのような内容を補償してくれるのか、スキー・スノーボード保険はどのような基準で選べばいいのかを、現役のA級インストラクターである私たちが詳しく解説していきます。
今後スノーボードに行く予定がある方や、どの保険に入ればいいかわからない方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。
スキー・スノーボード保険で補償してくれる5つの内容
保険に入るかどうかを考える上で、どんなことを補償してくれるのかを知っておく必要がありますよね。
スキー・スノーボード保険では、主に以下の5つの内容を補償してくれます。
傷害の補償
傷害の補償とは自分自身がケガをしたときに補償してくれるという内容です。
スキーやスノーボードをしているときにケガをして入院したり手術をしたり、通院になったりした場合にお金が受け取れるということです。受け取れるお金は実際にかかった医療費ではなく「1日●●円」という形式で決められています。
1日に受け取れる金額の相場は、入院で1,000円~3,000円くらい、通院だと入院の半分ほどの金額になります。いくら受け取れるのかは、支払う保険料によって変わります。どの場合も入院や通院をした日数分だけ保険金が支払われる仕組みです。
なお、万が一手術となった場合は支払われる一時金は、入院日額の5倍や10倍などで設定されていることが多いです。
個人賠償責任の補償
これは、あなたがスキーやスノーボードをしているときに、第三者の他のスキーヤーやスノーボーダー、歩行者などにぶつかった際に、相手にケガをさせてしまったり、相手の道具を壊してしまったりした際に補償が受けられるという内容です。
相手に支払わなければならない賠償金額は、相手のケガの状況や、壊してしまった物の価値、どれくらい自分が悪かったかという過失の割合などによって増減します。多くのスキー・スノーボード保険では、個人賠償責任の保険金は数千万円~3億円ほどで設定されています。
もし、スキー・スノーボード保険に入っていない状態で個人賠償責任が発生した場合、相手に支払わなければいけない金額を自腹で支払うことになります。・・・考えただけでけっこう震えます・・・。
なお、保険の商品によってはこのようなトラブルが起きたときのための示談交渉サービスが付いている商品もあるので、選ぶ際に確認すると良いでしょう。
携行品損害の補償
これは、自分の持ち物が壊れたときに補償してくれるという内容です。たとえば、スノーボードをしているときに転んで板が折れてしまったり、木にぶつかって持っていたカメラを壊してしまったりという場合に保険金が支払われる仕組みです。
支払われる保険金の上限は10万円ほどで設定されています。
ただし、この携行品損害の補償は2,000~3,000円くらいの少額なものを補償することは想定しておらず、数万円の損失をカバーするためのものと考えておいてください。
ちなみに、スマホやタブレット、ノートパソコンなどは、基本的にはスキー・スノーボード保険の携行品損害補償の対象外となっていますので注意してください。これは、壊れた原因がスキーやスノーボードにあるのか、ただの機械的なトラブルなのか、経年劣化によるものなのかの特定が難しいためです。
保険料の安いプランだと、この「携行品損害補償」が付いていないこともありますので、加入する前にこの補償が必要かどうか、必要な場合はプランに入っているかどうかなどを確認しましょう。
スキー・スノーボード保険の「携行品損害補償」は自分の所有物に限られた内容なので、レンタル品には適用できません。ただ、レンタル品はレンタルをするときに保険に加入しているはずなので、万が一壊してしまった場合などはそちらの保険から補償されるので心配ないですよ。
救援者費用の補償
サイドカントリーやコースアウトしてしまった結果、道に迷ったり、ケガで自力では降りられなくなったりしたときに、捜索や救助のためにかかった費用を補償するという内容です。
遭難したときに捜索してもらったり、自力で降りられないときに救助活動をしてもらったりしたときの費用や駆けつけた親族の交通費や宿泊費が補償の対象になります。
雪山の捜索では、ヘリコプターで捜索したり救助隊を動員して救助したりすることもあるので、莫大な費用がかかる傾向にあります。そのため、もしスキー・スノーボード保険に入っていなかった場合、これがすべて自腹で払うことになるので、かなり恐ろしい出費になるでしょう。
バックカントリーやサイドカントリーを楽しむスキーヤーやスノーボーダーにとっては、無くてはならない補償内容ですね。ただ、この補償は安いプランには含まれていないこともあるので、必要な方は加入するときに注意して確認するようにしましょう。
死亡・後遺障害
スキーやスノーボードのケガによって万が一死亡してしまったり、後遺障害が起きたりした場合に支払われる一時金です。だいたいの保険で100万円~500万円ほどで設定されています。
スキー・スノーボード保険ってほんとに必要?
スキーやスノーボードを趣味にしている方の中には「スキー・スノーボード保険ってホントに必要なの?」「加入しなくてもなんとかなるでしょ」と思っている方も多いかもしれませんね。
実際、私も昔はそうでした。
「今まで転んでも大した怪我したことないし」
「人にぶつかることなんてほとんどないし」
「遭難?ないないないない!」
こんな風に考えてしまうと、確かに保険に入る必要はなさそうに感じますよね。
しかし、いろいろな知識を得た今となっては、安心してスノーボードを楽しむためには「スノボ保険は絶対に必要!」と思っています。
ここではスキー・スノーボード保険の必要性について少し詳しく見ていきましょう。
どのくらいの人がケガをしている?
全国スキー安全対策協議会という団体が毎年2月に調査を行い「スキー場傷害報告書」を出しています。要するに、毎年どのくらいの人がスキーやスノーボードでケガをしているかという調査結果ですね。
この調査結果によると、2021~2022のシーズンでは全国のスキー場でケガをしたのは2073人という結果になっています。内訳はスキーが780人でスノーボードが1276人、その他が17人です。これは比率にするとスキーが全体の0.0094%、スノーボードが全体の0.0141%となっています。
割合だけ見ると、「自分は大丈夫だろう」と考えてしまうのは無理のないことだと思いますが、本当にスキー・スノーボード保険に入らなくても大丈夫なのでしょうか。
ケガをしたらほとんどの場合で治療が必要
ケガをする人の割合だけ見ると、スキー・スノーボード保険はそれほど必要性が高いものには思えないかもしれません。
しかし、万が一ケガをしてしまった時の重大さを考えるとまた見方が変わるでしょう。
スキーやスノーボードで事故を起こしてしまうとその危険性は非常に高く、ケガ人のほとんどが医療機関での治療を必要とするケガを負っているという結果が出ています。
この結果を見ると、ケガ人のうち、スキーでは約7割、スノーボードでは約7.5割もの人たちが医療機関での治療が必要とされる中等傷以上のケガを負っています。
スキーやスノーボードでの事故はよくバイク事故にたとえられますが、ほぼ何も守る装備(車体など)がない状態の生身の人間がかなりのスピードを出して滑走するため、転倒した時や何かにぶつかった時、お互いにぶつかり合ってしまった時は重大な事故につながってしまうのです。
バイクに乗るときは当然のように保険に加入していると思いますが、スキーやスノーボードも同じように保険に加入しておくのが安心と言えます。
保険に加入すべきかどうかを考えるとき、事故やケガをする確率ももちろん加味しますが、それよりも事故やケガになったときにどれくらいの被害が出てしまうのかを考えて加入すべきかを決めるのがおすすめです。
相手にケガをさせることも
スキーやスノーボードをしていると、自分が怪我することももちろんあり得ますが、第三者の相手にケガをさせてしまうリスクもあります。
特に、スキーとスノーボードは滑るラインが違いますので、相手の動きや読み切れずぶつかってしまうことが多いです。スキーは縦長にハイスピードで滑るのに対して、スノーボードは横に長く滑るので、お互いに注意散漫だったり不運が重なったりしてしまうと大事故につながります。
もちろん上達すれば機敏に方向転換して相手を避けたり、減速したり自在にできてくるので、相手にケガをさせるリスクは下げることはできますが、それでも100%事故を防ぐことはできません。たとえ中級者や上級者になっても油断は禁物なのです。
失敗しない!スキー・スノボ保険の選び方
ここまでで、スキー・スノーボード保険の必要性はお伝えしてきましたが、実際に選ぶとなるといろいろと種類が多くてどれを選べばいいかよくわからなくなると思います。
そこでこの章では、スキー・スノーボード保険の選び方について詳しく解説していきます。
まずは加入中の他の保険で補償できないかを確認する
いきなりスキー・スノーボード保険を選ぶのではなく、まず自分が今入っている他の保険で補償できないかどうかを確認しましょう。そのほうが、足りない部分だけを補える保険を選べばよくなるので、無駄な保険料を支払わずに済みます。
チェックしてほしいのは、傷害保険や旅行保険、医療保険、生命保険を確認し、通院や入院の補償や死亡保障を確認しましょう。個人賠償責任については自動車保険のオプションについている場合もあるので合わせて確認してみてください。
どのくらいの頻度でスノーボードをするかで選ぶ
それではここから本題のスキー・スノーボード保険の選び方についてです。まずはどのくらいの頻度でスノーボードを滑りに行くかによって種類を選びましょう。
スキー・スノーボード保険は大きく分けてレジャー保険と国内旅行保険の2種類があります。
頻繁にスノーボードに行くならレジャー保険
頻繫にスノボを楽しみたいという方はレジャー保険がおすすめです。
レジャー保険では契約開始から1年間を通して補償が継続しますので、シーズン中に何回スノーボードに出かけても、毎回契約する必要がありませんので手間がはぶけて便利です。1年間補償してくれるので春ボードを楽しみたい方も安心ですね。
保険料は年間4,000円前後が相場です。多くのレジャー保険が月単位での解約もでき、保険料の払い戻しも受けられるので、費用の無駄を省けるという点も魅力です。
注意点としては、レジャー保険の種類でゴルフ、登山などのレジャー全般向けの保険だと、ゲレンデでの事故に対応できない場合もありますので、スキー・スノーボードに特化したレジャー保険を選ぶことをおすすめします。
シーズンに1~2回なら国内旅行保険
シーズン中に1~2回くらいの回数行くくらいであれば、国内旅行保険がおすすめです。1日単位で契約ができ、保険料も1日500円~1,000円程度でリーズナブルです。
旅行保険を契約する場合は、旅行日程を全日程カバーできるように契約期間を設定することが大切です。契約期間は日帰り、1泊2日、4泊5日など自由に決められるので全日程をカバーしましょう。
全日程でカバーしておけば、家を出たときから帰るときまでが対象なので、行き帰りの事故やトラブルも補償してもらえて安心ですよ。
ただ、こちらの保険だとスノーボードに行くたびに毎回契約しなければいけないので、スマホやコンビニの簡単に契約できる保険を選ぶのがおすすめです。
自分のスノーボードレベルや遊び方によって選ぶ
スキー・スノーボード保険は、無駄のないように本当に補償が必要なものだけがプランに入ったものを選ぶことが大切です。いろいろな補償がトータルで入っているものが多いですが、補償が充実すると保険料も上がるので、ご自身のレベルにあった選び方をするのもポイントです。
初心者は幅広い保障の保険を
スキーやスノーボードに慣れていない初心者の方は、万が一のケガに備えて入院保障や通院保障、個人賠償責任が充実している保険を選ぶのがおすすめです。
ご自身のケガだけでなく、他人に損害を与えてしまった場合のリスクに備えておくと安心ですね。初心者のうちはあまりないかもしれませんが、もし使っている板が高額な場合は破損や盗難に備えられる携行品損害補償も確認しておくといいでしょう。
また、他人を巻き込んで事故を起こしてしまった時のために、自動車保険のような示談交渉の代行サービス付きの保険もおすすめです。
特に初心者に人気のスキー場では初心者同士の衝突事故が多くなりがちなので、万が一事故になってしまった時に相手との話し合いをプロにお任せできるプランも視野に入れておくといいですね。
上級者は遭難に備える保険を
スキーやスノーボードの上級者の中には、サイドカントリーやバックカントリーを楽しむ方も多いでしょう。
そんな方は遭難に備えることができる保険を選ぶことをおすすめします。万が一雪山で遭難して救助要請や捜索要請を出した場合、高額請求を受けるリスクが高いため、最低でも救難費用補償が100万円以上の保険を選ぶことをおすすめします。
スノーボード以外のアクティビティも楽みたいかで選ぶ
もし、一年を通してスキーやスノーボード以外にも登山やゴルフ、キャンプ、サーフィンなど幅広くアクティビティを楽しみたいという方は、このようなレジャーをトータルで幅広く補償してくれる保険を選ぶといいしょう。
毎回レジャーのたびに保険に入るのは手間もかかりますし、費用も余計にかかってしまうので、1年を通していろいろなレジャーを楽しむ方は1つでまとめて補償できるものが便利ですよ。
ただし、スカイダイビングなどの特に危険なスポーツの場合は除外されるケースもあるので、事前に補償内容や補償範囲をしっかり確認しておくことが大切です。
誰と一緒にスノーボードに行くかで選ぶ
スキー・スノーボード保険を選ぶ際は、家族で行くのか、友達と行くのかによって選ぶのもアリです。
家族旅行でスノーボードに行くのであれば、ファミリータイプの保険がおすすめです。小さな子どもは、初めて見る雪に興奮しすぎて怪我をするリスクも高いので、お子さんがスキーやスノーボードをしなくても雪遊びだけであっても保険は加入しておいた方がいいでしょう。
家族でまとめて入ったほうが手続きも楽ですし、費用もお得になるのでファミリープランがおすすめです。
もしお友達とスノーボード旅行に行く場合は、団体旅行用のスキー保険がお得です。友達まとめて契約できるので手間も省けますし、保険料もお得になることが多いので、お友達と相談してぜひ活用してください。
ぷらっとスノーボードに行く場合はコンビニやスキー場で選ぶのもアリ
予め家族や友達とスノーボードに出かける予定を立てている場合は、いろいろと吟味してスキー・スノーボード保険を選んで加入することになりますが、突如スノーボードに行くことが決まることもありますよね。
そんなときは、気軽に入れるスキー場の保険を活用するといいでしょう。リフト券チケットの購入に合わせて、数百円程度で保険に加入することができるので、お手軽に利用することができます。
補償面は他の保険と比べると少々弱いですが、申込に時間がかからないですし、ぷらっと旅行に行くときにも使えるので便利です。ただ、すべてのスキー場で保険を扱っているわけではないので、行くことが決まったスキー場が場内の保険を扱っているかどうか事前に確認しておくのがいいですね。
もし、スキー場が対応していないという場合は、セブンイレブンなどのコンビニで加入できる保険を選ぶという方法もありですね。
おすすめスキー・スノーボード保険の保険会社
それでは最後に、おすすめのスキー・スノーボード保険をご紹介していきます。補償内容や保険金額などから自分にぴったりのスキー・スノーボード保険を見つけてみてくださいね。
LINE保険
この記事を読んでいる方の多くが利用されているであろうLINEですが、そんなLINEから出ているスキー・スノーボード保険はお手軽に入れるのでおすすめです。
LINEアプリを開き、ウォレットタブから「ほけん」にアクセスすれば、6ステップで加入手続きができます。手軽に加入できるので突如スノーボードに行くことが決まった時にも簡単に入れて便利です。
1日わずか300円の保険料で加入ができますし、LINEペイ決済もできるので忙しくて保険を見比べる時間もない方にもおすすめです。
通院保険金はないものの、死亡保険金や入金保険金、賠償責任など納得の充実補償です。
Yahoo!保険
Yahoo!ウォレット登録者向けの保険として、『ちょこっと保険 スキー・スノーボードプラン』という保険が出ていますので、Yahoo!を良く使う方はこちらの保険も視野に入れるといいでしょう。
オンライン上で自分に合った補償内容にカスタマイズできますし、契約も簡単なのが魅力です。こちらの保険は、スキー・スノボ中の事故だけでなく日常生活の事故などもカバーしてくれますので、シーズン中に何度もスノーボードに行く予定がある方には特におすすめです。
保険料も月額320円からあるので、状況に応じて節約しながら備えることもできますね。
au損保
au損保から出ているスポーツ用の保険は、auを使っている人以外でも加入することができます。スポーツやレジャーのシーンから普段の生活で起こる様々なトラブルまで幅広く補償してくれるので、スノーボードのためだけに保険に入るのはな・・・と悩んでいる方にもおすすめのプランです。
Au損保のレジャー保険は熱中症補償や示談代行サービスもついているので、夏でも活用できますし、万が一スキー・スノーボード中に他人を巻き込んで事故を起こしてしまった時でも安心ですね。
セブンイレブン 三井住友海上保険
スキー場に行く途中であっても加入できる超便利なスノーボード保険は、セブンイレブンで加入できる三井住友海上のレジャー保険です。
スキー場についてから「あ、保険に入ってない!」という場合や、レッスンを受けるときに「保険に加入してますか?」と聞かれた時でも安心してすぐに加入できるところが魅力ですね。
1日単位で加入できますし、複数人同時に加入すれば保険料を300円に抑えることもできるのでとっても経済的です。
補償内容も三井住友海上という大手なので充実していて安心です。コンビニで24時間加入することができるので、一つの候補として考えておくのがおすすめです。
まとめ
スキーやスノーボードに出かけるときにケガのことや事故のことなんて考えたくない!と思うかもしれませんが、初心者のころはどうしても慣れない道具に慣れない動きをするので事故を起こしやすくなるのは否めません。
上級者は上級者で、難易度の高いコースを滑るようになりますし、バックカントリーなどで危険なエリアに足を踏み入れることも出てくるでしょう。
また、交通事故と同じで、自分自身がどれだけ気を付けていたとしても、他人からぶつかられて事故になるケースも少なくありません。
賢く選べば、ワンコイン程度の負担で最低限の補償と示談交渉サービスを受けられるスキー・スノーボード保険もありますので、安心して思いっきりウィンタースポーツを楽しむためにも、ぜひスキー・スノーボード保険を検討してみてくださいね。
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