「スノーボードのビンディングを買おうと思っているけど、何を買っていいかわからない」
「いろいろビンディングの種類があるみたいだけど、どれが自分に合っているのかな」
「ビンディング選びに失敗しない選び方のコツが知りたい!」
このような疑問をお持ちの方も多いはず。
また、スノーボードの板は慎重に選んだり、お金をしっかりかけたりする人も、
「ビンディングは昔買ったやつでいいか」
「友達からもらったのがあるからそれで…」
と重要視しないケースも少なくありません。
が!!!ビンディングが板やブーツとしっかり合っていなければ最高のパフォーマンスを発揮することができなくなってしまいます。ビンディングはスノーボードを上達させるうえで陰の立役者ともいえる重要な存在です。
そこで今回は、現役のA級インストラクターの私たちが、スノーボードビンディングのお勧めブランドや、ビンディングの選び方のコツ、板につけるときの注意点などをまとめていきます。
この記事を読んでいただいて、自分に合った最高のビンディングを見つけてくださいね。
ビンディングの基本を確認!各部位の名前
ビンディングは板とブーツをつなげる役割をしてくれるアイテムですが、それぞれの部位に名前がついています。
ビンディング選びにおいて各部位のスペックを確認する必要が出てきますので、まずは各部位の名前をおさらいしておきましょう。
レッスン中にもよく出てくる言葉もあるから、部位の名前はある程度頭に入れておくといいですよ。
ハイバック
ビンディングの一番目立つ部分、背もたれのようになっている部分をハイバックと言います。実は、ハイバックはビンディング選びで一番重視してもいいというくらい重要な部分なんです。
ハイバックの各モデルでの主な違いは
・硬さ(フレックス)
・素材
・フォワードリーンができるかどうか
の3点です。
初心者の方は、できるだけやわらかめのハイバックがついているモデルを選ぶといいでしょう。
素材はアルミ、プラスチック、カーボンの種類がありますが、個人的にあまり気にしなくていいのではないかと思っています。
フォワードリーンとは、ハイバックそのものを傾けることでブーツとの隙間をなくし、足から板に対するレスポンスを高めるための操作です。ただ、フォワードリーンを入れてしまうと遊びがなくなるため、初心者の方やグラトリなどトリックを極めていきたい人は使用しなくていいです。
反対に、ゴリゴリにカービングをしていきたい方はフォワードリーンができるかどうかも確認しておくことがお勧めです。
ストラップ
ストラップはブーツを固定するためのものです。足首側に付けるアンクルストラップと、つま先側に付けるトゥストラップがあります。(中にはつま先と足首側に分かれておらず1つの大きいストラップ1つのみというモデルもあります。)
モデルによるストラップの違いについては、クッションやカーブの違いがあります。
上位のモデルになるほどカーブがくびれて足首とのフィット感が増し、クッションは最低限になって足の力が伝わるレスポンスが良くなるように作られています。
ただ、レスポンスは良くなるもののクッション性は低くなるので足首が痛くなりやすいという傾向もあります。初心者の方はクッション性に優れたものを選んだほうがいいでしょう。
ストラップに関しては、上級者以上でも好みがけっこう分かれますので、自分のレベルや好みに合ったものを探し出してみてください。
ラチェット
ラチェットとは、ストラップを留めるための金具です。もう片方のストラップを入れて「カチカチカチ」とやるとブーツが固定される、あれです。(笑)
ラチェットはモデルによってそこまで大きな差はないので選ぶ時には気にしなくても大丈夫です。
ビンディングの中で一番酷使する場所なので、最初に壊れがちな部分でもあります。
ヒールカップ
ヒールカップとは、ブーツのかかとに当たる部分です。かっちりと固定されるものや、ぐにゃっと曲げられるやわらかいものなどいろいろあります。
カービングなどスピードを出す滑り方をする方は硬いほうがいい傾向にありますが、初心者の方やトリックを練習したい方はやわらかいヒールカップのもののほうがお勧めです。
個人的には足が疲れにくいのでやわらかいヒールカップのビンディングを選んでいます。
また、ヒールカップにブーツが合わないという可能性もゼロではないので、ビンディングを選ぶ際はお店に自分のブーツを持っていって合わせてみるのが安心ですね。
ベースプレート
ベースプレートは足を乗せる部分のことです。モデルによってベースプレートの見た目に多少の違いはあるものの、使う分には大きな違いはありませんので、あまり気にしなくて大丈夫です。
「そういう名前の部位なんだ~」くらいで大丈夫です。
ビンディングの固定方法の種類
続いては、ビンディングの固定方法の違いによる種類をご紹介していきます。
ビンディングの固定方法はストラップ型、クイックエントリー型、ステップイン・ステップオン型の3つに分かれています。それぞれのタイプによって固定力や着脱のしやすさなどが変わってきますので、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
ストラップ型
ストラップ型のビンディングは最もメジャーで定番として採用されている形です。
つま先側を固定するトゥストラップと足首側を固定するアンクルストラップに分かれているので、足首をしっかりと固定することができます。
2か所固定しているので、足首がちゃんと固定されているという安心感が大きいのと、手に入りやすいモデルが多いというのが魅力です。慣れればストラップの長さの調整も簡単にすることができます。
初心者の方で型の種類で迷ったらこちらのストラップ型から選べば問題ないでしょう。
クイックエントリー型
クイックエントリー型は、ビンディングのハイバック側からブーツを入れ、ハイバックを上げて固定するタイプのビンディングです。スノーボードに慣れてきた中級者以上の方は着脱が簡単で素早くできるメリットを感じられるでしょう。
ただ、着脱が簡単な分、固定力が弱いというデメリットや展開されている数が少ないため選びにくいという点があります。また、立って装着する前提で作られているので、ビンディングは座って装着するという初心者のときはあまりお勧めできません。
ステップイン・ステップオン型
ステップイン・ステップオン型のビンディングは、ブーツを乗せることで簡単に固定ができるワンタッチタイプです。スノーボードブランドとして有名なバートンのオリジナルシステムです。
こちらも、クイックエントリー型と同じように種類が少ないというデメリットや、立って装着する前提の作りになっているので、初心者の方にはお勧めできません。
ビンディングの選び方の注意点
ここからはビンディングを選ぶ時の注意点についてまとめていきます。選び方のポイントを押さえずにデザインや値段だけで選んでしまうと
「わーい、新しい板買っちゃったーー!ビンディングは安いし可愛いし、とりあえずこれでいっか!」
みたいな買い方をしてしまうと、板に取り付けることができなかったり、ブーツが入らなかったりして、買い直しが必要など後々苦労することになりますので注意しましょう。
板との相性
ビンディングは板に取り付けて使うものなので、板との相性をまずは要チェックです。
取り付け方を大きく分けるとバートンの板かそうでないかで大きく分かれます。一般的なスノーボード板は4×4(2×4)のビス穴が用意されていますが、バートンの板はThe Channelという1本の溝のようなレールが用意されています。
左が一般的なビス穴の板で右がバートンのThe Channelです。
見た目から容易に想像できるように、規格を間違えると取り付けできません。
ただ、バートンの板以外と普通のビンディングであれば、だいたい取り付け可能ですので、バートンのアイテムを買うときだけ取り付けができるかどうか入念にチェックすればOKです。
ブーツとのサイズ感
ビンディングにはSサイズ、Mサイズなどのサイズがありますが、これはブーツの大きさに合わせて選ぶようにしましょう。
ビンディングに対してブーツが大きいと、かかとがしっかりと入らずフィットしなかったり、ストラップが短くて止めることができなかったり、とにかく「使えない!」となりますので、ブーツとのサイズ感は必ずチェックしておいてください。
一番安心なのは、実際にお店に自分のブーツを持って行ってビンディングに合わせて確認する方法ですが、忙しい方だとなかなかショップに行けないことも多いと思います。
そんなときは、ビンディングの各メーカーが出しているブーツサイズ早見表で確認してから購入してください。
ビンディングSサイズ:ブーツ ~25センチくらい
ビンディングMサイズ:ブーツ 25~27センチくらい
ビンディングLサイズ:ブーツ 27センチくらい~
のように記載がありますので、チェックしてから自分に合ったサイズを選びましょう。
ストラップ
ストラップは大きく分けてハードタイプ(硬め)とソフトタイプ(柔らかめ)があります。ハードタイプは上級者、ソフトタイプは初中級者向けと言われていますが、上級者の中にもソフトタイプが好みという人もけっこういますので、ご自身の好きなタイプを探してみるのもいいでしょう。
ハードタイプの特徴は、硬い仕様になっているのでハイスピードで板をコントロールするとき、瞬時にブーツから板への力が伝わりやすく反応が早いというメリットがあります。クイックな操作を得意としています。
そのため、板のコントロールに慣れている上級者でなければ使いこなすことが難しいので、初心者や中級者の方はソフトタイプを選ぶといいと思います。
ソフトタイプの特徴は、ブーツの固定がキツくないのでスノーボード初心者も板の操作に慣れやすいというメリットがあります。また、ストラップがやわらかい分、ブーツが比較的自由に動きやすいのでグラトリがしやすいという特徴もあります。
反面、スピードが出たりボコボコの荒れた雪面を滑ったりするときは、雪の衝撃がブーツへダイレクトに伝わってしまいますので、そういう場面では安定感に欠けてしまうかもしれません。
ちなみに私はソフトタイプを使っています。
脚力に自信がない方もソフトタイプなら安心です。
ソフトタイプにしてからグラトリの練習もやりやすくなりましたよ!
固定方法
先ほど、ビンディングの固定方法にはストラップ型、クイックエントリー型、ステップイン・ステップオン型の3つがあるとお伝えしました。
選び方の注意点としては、初心者の方や中級者の方は、圧倒的にストラップ型をお勧めするということです。
以前、スノーボード3回目という初心者の方をレッスンした時、ステップオン型のビンディング付きの板でいらっしゃったんですね。その方は「自分はビンディングをつけるのが遅いから店員さんに装着が楽だと勧められて買いました」とのことでしたが、実際はステップオンの装着にかなり苦労されて、結果一番つけるのが遅かったんです。
なぜなら、初心者なので、まだ座ってしかビンディングを付けることができないから。ステップオンは立ってつけることができれば確かに脱着は楽ですが、座ってビンディングを付けるという方は逆に取り付けが難しくなってしまいます。
ビンディングは座ってつけるよーという方は定番のストラップ型がお勧めです。
ビンディングの取り付け方
ビンディングを買ったのはいいけど、取り付け方がわからない!というのは初心者あるあるです。慣れればビンディングの取り付けは数分あればできますが、慣れないうちはかなり時間がかかってしまうでしょう。
そこでこの章では、ビンディングの取り付け方の基本をご紹介していきます。
私も以前、何をどう取り付けていいかわからず、調べながらやっていたら、気が付いたら1時間以上経っていたことも…。どうしても無理かも、という場合はショップにお願いすることもできますよ。
ビンディングはパーツがいっぱい
ビンディングを購入するときは、大きく2つにまとまっているように見えますが、実はビンディングにはいろいろなパーツがたくさんあります。
【ハイバックなどの本体部分×2】の他に、取り付け用のパーツである【センターディスク×2】、【ビス・ワッシャー×8】があり、たくさんある上に、バラバラになりやすいので無くさないよう注意しましょう。
↓センターディスク
↓ビス・ワッシャー
取り付けに必要な道具
取り付けは素手ではできません。ビンディングを板に装着するためにはプラスドライバーが必要です。また、スタンス幅を測るためのメジャーもあるといいでしょう。
ちなみに、ゲレンデで滑っているときにビンディングが緩んでしまうことも多いため、ミニサイズのドライバーを携帯しておくこともお勧めです。
ビンディングの角度を決める
取り付けの道具を用意したら、ビンディングを取り付ける角度を決めましょう。アングルともいわれています。
ビンディングのアングルは上級者になってくると自分の好みが強く出てきますが、初心者のうちはよくわからないと思いますので、一般的な角度で問題ないと思います。
「前足18~24度」「後足-6~9度」の基本の角度に設定しておきましょう。
スタンス幅を決める
アングルが決まったら次はスタンス幅を決めて行きます。スタンス幅はビンディングとビンディングをどのくらい離してセッティングするかということです。肩幅くらいに立ってみて、そこから思いっきりジャンプできる力が入るかどうか確認してみるといいと思います。
ざっくりの目安としては、身長によって変わり
身長150cm・・・スタンス幅 46~50cm
身長160cm・・・スタンス幅 48~52cm
身長170cm・・・スタンス幅 50~54cm
身長180cm・・・スタンス幅 52~56cm
くらいでしょう。
人よってスタンス幅も好みが分かれ、やりたいジャンルによっても変わってきますので、いったん目安で設定し、滑ってみて調整するというのが一番いいと思います。
スタンス幅を広くすると安定感は増しますが、膝の曲げ伸ばしはしにくくなります。反対にスタンス幅を狭くすると安定感は低くなりますが、膝の曲げ伸ばしは楽になります。
アングルもスタンス幅も一度決めたら永遠にそれで滑るというものではないので、一度セッティングして滑ってみて、滑りにくければその都度変えるという方法のほうがしっくりくるセッティングができるようになりますよ。
スノーボードビンディングのお勧めブランド3選とモデル6選
私たちがお勧めしたいビンディングブランドはSalomon(サロモン)、UNION(ユニオン)、FLUX(フラックス)です。
それぞれのブランドの紹介と、お勧めモデルも合わせてご紹介していきます。
Salomon(サロモン)
まずはサロモンです。サロモンは、フランスのメーカーで、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツ用品で有名なブランドです。
サロモンのビンディングは「シャドウフィット」と呼ばれる特殊な構造が特徴で、ヒールカップが柔らかく設定してあるため自由度の高いビンディングになっています。
「サロモンからマージンもらってんの?」と言われるくらい普段からサロモンのビンディングを勧めていますが、1円たりとももらっていません(笑)
個人的にかなり使いやすく気に入っているため「どこのビンディングがいい?」と聞かれるとサロモンを勧めています。いろいろたくさんの規格があり、デザインもおしゃれなものが多いので選びやすいという点もお勧めポイントです。
SALOMON(サロモン) RHYTHM (リズム)
リズムは非対称のハイバック形状を採用していて、足の外側のサポート性能と内側のフレックスを高めてくれます。
3D形状のストラップなので優れたフィット感でどんなコンディションでも快適なライディングを楽しめます。
かなりやわらかいビンディングなので、初心者や中級者、グラトリを極めたいと考えている方にお勧めのモデルです。
Salomon(サロモン) HIGHLANDER(ハイランダー)
独自のソフトヒールカップのシャドウフィット構造で抜群のフィット感とパワー伝達性を実現しています。
超軽量かつ抜群のフィット感は、スピードを出した時のライディングでも安心できます。少々硬めのビンディングなので、上級者向けのモデルとなっています。
Salomon(サロモン) HOLOGRAM(ホログラム)
ホログラムはミディアムフレックスで硬すぎず柔らかすぎずという丁度いい硬さなので誰もが扱いやすいビンディングです。
またシャドウフィット構造というテクノロジーを搭載しているため足首が動かしやすく疲れにくいビンディングになっています。
上級者向けの話になってしまいますが、ヒールカップの構造上、カービングのバックサイドターンの時、板をかなり立てている状態でもヒールカップが雪面に当たらないため、スムーズなカービングターンを実現してくれます。
「グラトリも練習したいし、カービングターンもかっこよく滑りたい!」というわがままな要望に応えてくれるオールラウンドのビンディングです。
個人的にホログラムが一番好きで、持っている板のうち、3本の板それぞれにホログラムを付けています(笑)
UNION(ユニオン)
ビンディングといえばユニオン、と考えるスノーボーダーもいるくらい、ビンディング界では超有名なブランドです。
2005年にアメリカで誕生し、ビンディングのクオリティ、デザインともに人気があり歴史もある老舗のブランドです。
ユニオンのビンディングの多くは、普通のカーボン素材より耐久性がある「フォージドカーボン」が使用されていて、衝撃に強いという特徴があります。
UNION(ユニオン) STRATA(ストラータ)
スキー場にいったら必ずつけている人を見かけるのがこのストラータです。
非対称設計のアンクルストラップを採用していて、優れた操作性を発揮します。ミディアムフレックスのハイバックなので、使う人を選ばず快適なライディングが可能になります。
また、内側が柔らかく、膝が入りやすい設計なので深く踏み込めるのが大きな特徴で、パークライダーにも人気のモデルです。力を無駄なく板に伝えてくれるので、疲れにくい快適な乗り心地を提供してくれます。
FLUX(フラックス)
フラックスは日本に拠点を置く会社で1992年に「日本人の足にあう最高のビンディング」をコンセプトとして誕生しました。日本人を納得させる究極の物作りを追求しているため、作りや構造が丁寧で強いです。
強いプレートが足の力をダイレクトに板に伝えてくれるので、板の操作がしやすいという感覚を味わえるでしょう。ユニオンと並んでビンディングの二大巨頭と呼ばれることもあります。
FLUX(フラックス) DS
フラックスのDSは初心者・中級者・上級者すべてのスノーボーダーにお勧めできるモデルでオールマイティです。コンディションも人も選ばないため、ビンディングの「THE 定番」とも言えます。
ストラップのワッフルクッションが、装着していることを忘れるほどの快適なホールド感と動きやすさを実現しています。さまざまなトリックや地形にも対応してくれますので、初心者の方のステップアップを足元からサポートしてくれるでしょう。
FLUX(フラックス) PR
フラックスのPRはフラックスのモデルの中でも最も柔らかいビンディングになります。
快適な装着感と安定感ある操作性が魅力なので、ステップアップを目指している初心者のスキルを確実に後押ししてくれるでしょう。
かなり柔らかいため脚力がない女性でも扱いやすいビンディングで、初心者やグラトリをしたい人にも向いています。
若干、ほかのビンディングよりも重いと感じるかと思いますが、その分値段もお手頃なのが魅力ですね。
まとめ
ビンディングはスノーボードの乗り心地やパフォーマンスを左右する大切なパーツで、いわばスキルアップの陰の立役者です。サイズやデザイン、固定方法、機能などをしっかり確認して、自分に合ったベストなビンディングを見つけてくださいね。
ビンディング選びやスノーボードスキルについて聞きたいことがあれば、ぜひ私たちにお気軽にご質問ください。
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