スノーボードをするとき、顔周りや首元が寒いとせっかくのスノーボードを楽しみ切れないですよね。
スノーボードをするときの顔周りの防寒具としてバラクラバ(目出し帽)が挙げられますが、ウィンタースポーツをしたことがない方にとっては聞きなれない言葉ですし、あまり馴染みのない存在かもしれません。
ですが、バラクラバは一度使ったらほぼ間違いなく手放せなくなるというくらい、機能性の高いアイテムです。ゲレンデに行くなら絶対に1つは持っておきたいところ。
今回は、現役のインストラクターである私たちが、バラクラバを付けるメリットやバラクラバを選ぶ時のポイント、おすすめのバラクラバアイテムについてご紹介していきます。
スノーボードをするとき、顔や首が寒いな~と思っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
バラクラバとは?
バラクラバは、目元以外の顔全体を覆い隠すことができ、顔周りを寒さから守ってくれる防寒アイテムです。帽子とネックウォーマーの機能が一体となっていることで、首元に隙間がなくなるので、冷気が侵入してくるのを防いで保温効果が高く保たれるというメリットがあります。
防寒効果以外にも通気性や速乾性のあるものもいろいろと種類がありますので、行く先の気温や状況に合わせていくつか持っておくと便利です。
私は、寒い日用に分厚くて保温性の高いバラクラバと、レッスンのときや春シーズン用に薄手の通気性の良いバラクラバと常に2種類持っています!どちらも小さくたたむとポケットに入るのでゲレンデで付け替えることもできますよ。
バラクラバの語源は、ウクライナのクリミア半島にある「バラクラバ」という地名から来ているそうです。クリミア戦争で寒冷な気候の戦地に出兵するイギリス兵のために、妻たちが顔ごと覆うことができる帽子を手編みで作って持たせたのがきっかけで、その帽子を被って戦ったことから「バラクラバ」と呼ばれるようになったそうです。
ネックウォーマーとどこが違うの??
バラクラバと似た用途として使われることが多いのがネックウォーマーですが、この二つはどこがどう違うのでしょうか。
バラクラバはネックウォーマーと帽子が合体したようになっていて、頭から首まですっぽり覆っている形状になっています。そのため、鼻や口元、首元当たりの保温性がネックウォーマーとは格段に違ってきます。
ネックウォーマーだと鼻の上まで上げてもスノーボードをして動いているうちに徐々に下がってきてしまいますし、首元に隙間があるのでそこから冷気が入ってきてせっかくの温かさが抜けてしまいます。
また、転んだときに隙間から雪が入ってきて、首が「ヒヤッ」となる心配がないのもバラクラバの魅力の一つでしょう。
バラクラバを付けるメリットとは
「自分はそれほど寒がりではないし、バラクラバは必要ないかな」と思っている方もいるかもしれません。そんな方のために、「温かい」以外のバラクラバのメリットをこちらでご紹介していきます。
日焼けを防げる範囲が広がる
晴れた日のゲレンデは、上からの直射日光と下の雪からの照り返しで、紫外線の量が地上の2倍以上になるともいわれています。
そのため、特に女性は紫外線対策が死活問題になってきますが、バラクラバを鼻までしっかりと着用し、ゴーグルを着用すればかなり日焼け対策になります。最近はUV対策用のバラクラバも出ていますので、春シーズンにはそのような紫外線対策のバラクラバを用意しておくのもいいですね。
バラクラバは日焼け対策としては有能なアイテムではありますが、着け方をミスると変な日焼けの跡になるので要注意です。
僕は鼻と口を覆わずに少しずらしてバラクラバをしていたら、顔の中心部だけが黒く日焼けしてしまったことがあります。個性的な焼け方なのでスーパーなどではよく二度見されます。
マスク代わりになる
最近はコロナ情勢も変わってきていてマスクは必須ではなくなりましたが、やはり人が大勢いるエリアではマスクをしたほうが安心という方も多いでしょう。
そんなとき、バラクラバがマスク代わりになるので便利です。
小顔効果
バラクラバは顔の大半を覆っているので、当然と言えば当然ですが、小顔効果バツグンです。
特に女性は、旅行の思い出の写真を撮るときはバラクラバ付きで写真を撮ったほうが断然かわいくみえるのでおすすめです。
帽子が吹っ飛ばない
最後のメリットになりますが、もはやこれがバラクラバを付ける理由の9割を占めるのではないかと思うくらいのメリットです。バラクラバを付けると、転倒時に帽子が吹っ飛ぶのを防いでくれるのです。
スノーボードをしたことがある人なら誰でも経験があると思いますが、逆エッジになって転んだとき、帽子とゴーグルが仲良く手をつないで遠くまで吹っ飛んだことがあるでしょう。
一気に頭が寒空にさらされて寒いうえに恥ずかしさもあり、気分は最悪。さらにゴーグルの中に雪が入って曇り、さらに最悪。
そんな転んだ時の帽子吹っ飛び問題ですが、バラクラバを付けるだけでその問題がかなり軽減されます。帽子が吹っ飛ぶ回数がかなり減るでしょう。少なくとも、転んでもバラクラバが外れることはありません。
グラトリの練習をするときは逆エッジとの戦いになるので、グラトリ練習のときは特にバラクラバがあったほうが安心ですよ。
関連記事:スノーボードで転ぶと帽子が吹っ飛ぶ問題!どう解決するのがいいの?
バラクラバを選ぶときにチェックしておきたい6つのポイント
バラクラバの特徴や付けるメリットについてお伝えしてきたところで、ここからは自分に合ったバラクラバの選び方をご紹介していきます。
使われている素材をチェック
バラクラバは商品によって使われている素材が違います。なかには複数の素材を配合して作られているものもありますので、素材ごとの特徴を把握しておくことで、自分に合ったバラクラバを選びやすくなります。
ウール
ウールは保温性が高いのはもちろんですが、吸湿性・通気性にも優れていて蒸れずに汗冷えしにくい素材です。汗をかいても効率よくその水分を発散してくれますし、同時に多くの熱を発生させるため、体温が下がりにくい素材なのです。
寒い場面で汗をかく可能性があるバックカントリーなどのときにおすすめの素材といえます。また、暑がりな方もウールの素材が合っているでしょう。
フリース
温かさを重視するならフリース素材がおすすめです。ポリエステルなどを起毛させたフリース素材は、繊維と繊維の間で熱を保ってくれるので、とにかく保温性が高いです。
スノーボードの上級者になればなるほど、無駄な動きが減ってきて体が冷えやすくなりますので上級者の方にもおすすめです。また、リフトなどの動かない状況で寒さに耐えられないという方にもおすすめです。
フリース素材は速乾性にも優れているので、水が生地に触れてもすぐに蒸発してくれます。転んだときにバラクラバに雪がついてしまっても、中まで染み込まずにすぐに乾いてくれるのもうれしいポイントです。
マイクロファイバー
マイクロファイバーは保温性と吸水性のバランスが良い素材なので、1つのバラクラバでいろいろなシーンに対応させたいという方におすすめです。極細の合成繊維でできているので、肌触りもやわらかなのも特徴です。
吸水速乾性もあるので、汗をかいても素早く発散してくれますし、洗濯してもすぐに乾くのでメリットだらけの素材と言えます。
欠点としては、他の素材のものよりも値段が高いものが多く、1万円くらいが相場となっています。値段よりも機能性を重視したい方におすすめです。
口元が呼吸しやすいかチェック
バラクラバは顔全体を覆うので、呼吸のしやすさも重要なチェックポイントです。ただ立っているだけだと気になりませんが、実際にスノーボードをして動きが多くなると、ものによっては息苦しさを感じてしまうでしょう。
口元がメッシュ素材になっていたり、立体構造になっていたりするモデルなら、無理なく呼吸ができるため便利です。また、あごの下まで下げて簡単に口元を出せるかどうかもチェックしておくといいでしょう。
フィット感をチェック
バラクラバの快適な着け心地において、フィット感があるかどうかも欠かせないポイントです。
ゆるいと隙間から冷気が入ってきて寒くなりますし、動いているときにずれて視界を遮ってしまう可能性もあります。
反対に、きつすぎても、顔が締め付けられて痛いですし、呼吸も苦しくなってしまい快適に過ごせなくなってしまいます。
伸縮性のある素材であれば、自然に顔にフィットしてくれるのでとても便利です。もし伸縮性のない場合は調節機能がついているかどうかをチェックしておきましょう。鼻部分の調節が可能になっていたり、ヒモでフィット感を調整できたりするものも出ています。
防臭機能がついているかチェック
バラクラバは顔全体を覆う防寒具なので、汗やヨダレがついてしまいニオイが気になってしまうという難点があります。遠くのスキー場に連泊でスノーボードに行くことも多いと思いますので、洗濯ができなかったときも心配になりますよね。
そういう場合は、防臭機能付きのモデルを選ぶと、嫌なニオイがこもりにくく、快適に過ごしやすくなります。
ニオイや衛生面が気になる方は、防臭機能がついているものを選ぶのがおすすめです。
収納のしやすさをチェック
すぐに暑さを感じてしまう方や、バックカントリーなどでハイクアップする可能性のある方は、バラクラバの収納のしやすさも視野に入れておくといいでしょう。
暑くなったりハイクアップしたりするときに、バラクラバを外してポケットに収納することができると、無駄に汗をかいて体力を消耗するという事態を防ぐことができます。
僕はいつも、暑くなっても寒くなってもいいように、厚手のバラクラバと薄手のバラクラバを用意して、一つは着用、もう一つは予備のバラクラバとして小さくたたんでポケットに入れています。
天候が急に変わることもありますし、サイドカントリーで軽くハイクアップすることもありますので、バラクラバは2種類あると便利ですよ。
自分好みの厚さかどうかチェック
快適に過ごすためには好みやシーンに合わせて厚さを選ぶことが大切です。生地の厚いバラクラバは保温性が高く寒い日のゲレンデでは重宝しますが、春シーズンでは暑すぎてしまいます。
逆に、薄手のバラクラバは熱を外に発散しやすくなっていますが、人によっては寒さを感じることも多くなります。
また、バラクラバの上から帽子やヘルメットを被ると思いますが、バラクラバの生地の厚みと帽子やヘルメットとの相性も事前にチェックしておくのがおすすめです。
暑がりな方は薄手のバラクラバを付けるのがおすすめです。薄手ではありますが、あるのとないのでは防寒効果がまったく違ってきますし、薄手なので熱もこもらず快適に過ごせますよ。
髪の長い女性は要チェック!快適にバラクラバを装着するコツ
バラクラバは防寒対策にもばっちりですし、帽子吹っ飛び問題も解決してくれるのでスノーボーダーの強い味方ですが、髪の長い女性はいろいろと悩ましいところがありますよね。
私も経験がありますが、髪をおろした状態でバラクラバをすると、バラクラバの下で髪の毛が口あたりにワッシャーとなって襲いかかってきて、髪の毛を食しながら滑る状態になりますし、一つ結びをしてからバラクラバをすると、結び目がバラクラバで頭に押さえつけられて頭が痛くなってきます。
髪の毛がバラクラバの下でぐちゃぐちゃになる問題や、結び目が痛くなってくる問題は以下の2つの方法で回避できますのでぜひ試してみてください。
スリット付きのバラクラバを選ぶ
髪の毛を一つにまとめることが多い女性は、後ろにスリットが入ったタイプのバラクラバを選ぶのがおすすめです。これであれば、後ろから結んだ髪を出すことができるので、頭を圧迫する心配はありません。
全部の髪を出さなくても、スリットから結び目だけ出ていれば違和感を軽減することができます。
髪の毛を2つにまとめて結んでおく
すでに持っているバラクラバがスリットタイプではなかった場合は髪の毛のまとめ方を工夫するだけでかなり快適に過ごせます。
個人的なおすすめは、二つに分けて三つ編みするスタイルです。
三つ編みすると結び目が下の方に来るのでバラクラバで結び目が押さえつけられて頭が痛くなる心配がありません。また、スノーボードをして激しく動いていると、バラクラバの中で髪の毛がぐちゃぐちゃになって絡まってしまうことも多いですが、三つ編みにして髪の毛の可動域を極限まで抑えておけば、髪が絡まることも、髪が痛むこともなくなります。
一つ結びの三つ編みでももちろんOKなのですが、個人的に腕が短くて後ろまで手を回して三つ編みするのが至難の業なので、二つに分けて三つ編みのほうがやりやすくておすすめです。
「年齢的に二つ結びの三つ編みはちょっと・・・・」と心配される方もいるかもしれませんが、滑っているときはバラクラバで隠れて見えませんし、バラクラバを外したら三つ編みも一緒にほどけば全く問題ありません。
ちなみに、バラクラバを外した時に髪の毛がペタンとなって可愛くなくなるのを防ぐ方法はないのかという質問をよくいただきますが、結論、ありません。レストハウスなどでバラクラバを外した時は、帽子をかぶってカモフラージュしましょう。
スノーボード用バラクラバのおすすめブランド
ここからは、私たちが厳選するおすすめのバラクラバを紹介していきます。
mont-bell モンベル
山ブランドとして人気の高いモンベルはたくさんの種類のバラクラバを販売しています。高品質で保温性能が高いメリノウールを採用しているものや、高い速乾性をもつ独自の素材である「ジオライン」を用いたバラクラバなど機能面でも多くのラインナップがあります。
形状も鼻部分に樹脂製の芯を採用してありフィット感抜群のモデルもありますので、バラクラバのずれが気になる方にもおすすめです。
POLEWARS ポールワーズ
世界的にも名をとどろかせているポールワーズは、東洋羽毛工業のウエア部門をルーツとする日本のブランドです。今では登山や雪山に必要な商品を多岐にわたって扱っています。
以前、日本で唯一の北極冒険家である「荻田泰永」さんとコラボレーションした極地仕様のダウンジャケットが話題となりました。北極でも通用するくらいのアイテムを作れるポールワーズはゲレンデでも強い味方になってくれます。
そんなポールワーズのバラクラバは個人的に一番のお気に入りです。
まず、何よりめちゃくちゃあったかい。北極もこれがあれば余裕で過ごせるでしょう。(行ったことないけど)。着け心地もよくて肌触りも最高に良いです。で、ロゴがかっこいい!!値段も4千円前後で買えるものが多いのでコスパもいいと思います。
THE NORTH FACE ノースフェイス
ノースフェイスのバラクラバはデザインが豊富でおしゃれなものが多いのが特徴です。厚さも薄手のものから厚手のものまでさまざまありますので、用途やシーンに合わせて揃えておくのもいいですね。
ノースフェイスのバラクラバにはキッズ用もあり、お子様にもおすすめです。よくある間違いとして、大人の方がキッズ用を買ってしまうというミスが起こりえますので、購入する際はデザインや厚さだけでなく、「大人用or子供用」もしっかりと確認しましょう。
BURTON バートン
スノーボードのトップブランドであるBURTONのバラクラバもおすすめです。
バートン独自の機能や素材を生かしたバラクラバは、保温性、透湿性、速乾性に優れたものが多く、いろいろなデザインのラインナップがあります。価格帯もさまざまなので、上級者から初心者まで、幅広い方が選びやすくなっています。
ストレッチ性能が高いものや口元に呼吸を通す穴が空いているデザインもあるので、快適にスノーボードを楽しむことが出来ますよ。
MIZUNO ミズノ
幅広いスポーツ分野でハイクオリティな製品を出しているミズノですが、バラクラバもおすすめです。
ミズノ独自の素材であるブレスサーモは、体から出た水分を吸着して温度を上げてくれるため、汗によるムレや冷えを防止して体温を維持する効果があります。発熱持続性も高いので、寒い日に長時間滑ることがある方や、バックカントリーなどで長時間外で過ごす方にもおすすめのバラクラバです。
finetrack ファイントラック
国産メーカーであるファイントラックは、画期的なバラクラバのモデルを出しています。それが、レイヤリングできるバラクラバです。
レイヤリングとはいくつもの層を重ねるという意味で、ファイントラックはバラクラバを【ドライレイヤー+ベースレイヤー】の2層構造で使用することを提案しています。
ウエアの下に着るインナーでもそうですが、レイヤリングすることによって体温調節がしやすくなり、より快適に過ごすことができるので、それをバラクラバにも取り入れているところがさすがファイントラックという感じです。
参考記事:スノーボードウエアの下には何を着ればいい?快適なインナー選びのポイント
機能性は抜群なのですが、通常のゲレンデで使う分には少々オーバースペック感が否めないので、かなり寒がりな方やバックカントリー、サイドカントリーに良くいく方におすすめのモデルと言えるでしょう。
まとめ
私たちもバラクラバを必ず着用してスノーボードを楽しんでいますが、やはり防寒対策という視点からも、帽子が飛ばないという視点からも、なくてはならないアイテムだと思います。
是非、今回の記事を参考にしていただき、自分に合ったバラクラバを見つけて快適なスノーボードを楽しんでください。
もし、スノーボードアイテムや滑り方のコツ、どこのスキー場がおすすめなのかなど、スノーボードに関してわからないことがありましたら、お気軽に私たちインストラクターにご相談くださいね。
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