スノーボードを楽しむうえで、最も大切なギアのひとつが「スノーボードブーツ」です。
スノーボードのギアを揃えるとき、板についてはこだわりを持って入念に調べた上で買う方が多いのですが、ブーツについては「スノーボードのブーツなら何でもいいか」「流行っているみたいだしこれでいいかな」など、結構あいまいな判断基準で選んでいる方がちらほらいらっしゃいます。
しかし、足に合わないブーツは痛みや疲労の原因となってしまいますし、レベルに合っていないブーツを選ぶと上達の妨げにもなってしまいます。
快適に楽しく、安全にスノーボードを上達させたいのであれば、ご自身の足とレベルにあったスノーボードブーツを選んでいくことが重要です。
そこで今回の記事では、現役のA級インストラクターの私たちが失敗しないスノーボードブーツの選び方やレベル別・ユーザー別のおすすめモデルを徹底解説していきます!
また、ブーツを長持ちさせるためのおすすめのメンテナンス方法についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
スノーボードブーツはなぜ重要なの??
スノーボードのインストラクターの中では、ブーツ選びは板選びよりも重要と言っている人もいるくらい、ブーツ選びがとっても大切という認識の人がほとんどです。
なぜ、スノーボードのギア選びにおいて、ブーツは「最も重要」と言っても過言ではないくらい重要度が高いのでしょうか。
なぜなら・・・
スノーボードブーツは足とスノーボード板をつなぐ接点
足の動きがスノーボードの動きに直結するため、スノーボードブーツが足にフィットしているかどうかで操作性や反応速度に影響します。
体重移動の精度を左右する
ターンやジャンプ、トリックの時に足元の安定感があるかどうかでパフォーマンスの精度に直結します。
快適性・安全性に影響
スノーボードブーツが足にしっかりとフィットしていないと、滑走中に違和感が出てきてストレスの元になりますし、足の痛みを誘発する恐れがあります。最悪の場合ケガに繋がってしまいます。
失敗しないスノーボードブーツ選びのポイント
スノーボードブーツ選びがいかに大切なのかは先に述べたとおりですが、失敗しないブーツ選びはどのようにしていけばいいのでしょうか。
ここでは、初心者の方でも失敗しないためのブーツ選びのポイントについてまとめていきます。
フィット感とフィーリング
サイズ選びのコツ
つま先のスペース:スノーボードブーツは、つま先が軽く触れる程度のスペース感が理想です。ぴったりすぎてもきつくて足先が痛くなってしまいますし、大きめで遊びが多すぎるとブレの原因になります。
もし、足のむくみでサイズが大きく変わるという方は、少し大きめを選んでおいて分厚めのスノーボードソックスでその都度調節するのがベストでしょう。
かかとのホールド:板にしっかりと力を伝えるためには、かかとが浮かないブーツが最適です。
足幅の確認:ブーツ選びにおいて意外と盲点になりやすいのが、足幅のサイズです。足の長さは合っているはずなのに、なぜかきつく感じる、という場合は足幅のサイズが合っていない可能性が高いです。
特に日本人は幅広・甲高の傾向があるため、「アジアンフィット」モデルのスノーボードブーツを選ぶのが有効です。
成型ライナーの有無
熱成型ライナーを備えたモデルでは、専用ヒーターでブーツを温めて自分の足型に合わせることが可能です。自分の足型に完全にフィットさせるので足への負担が軽減されますし、疲労の蓄積防止にも大きく貢献してくれます。ただ、値段が高くなる傾向があるので、コスト面ではデメリットが大きくなってしまいます。
ブーツの硬さ(フレックス)
ブーツの硬さ(=フレックス)には、一般的に「1(柔)〜10(硬)」の目安があります。
フレックス | 対象レベル | 特徴 |
1〜3 | 初心者・パーク向け | 柔らかく動かしやすいが安定感は低い |
4〜6 | 中級者・オールラウンド | 操作性と安定性のバランスが良い |
7〜10 | 上級者・高速ライディング | 高速でもブレない反応性とサポート力 |
フレックスは自分のスノーボードのレベルや、自分のやりたいボードスタイルに合わせて選ぶといいでしょう。
グラトリ・ジブ派:柔らかめ推奨(足元の自由度が高い)
カービング・パウダー派:中〜硬め推奨(エッジ操作の精度が高い)
素材と耐久性
年に数回しか滑らないという方や、初心者のうちはそこまで素材や耐久性を重視して選ぶ必要はないかと思いますが、中上級者以上の方や、パーク、グラトリを極めたい方、バックカントリーなど過酷な環境に行く方は素材と耐久性についてもこだわって選ぶのが良いですね。
アウター素材
合成皮革+PUコーティング:耐水性が高く、冷気をシャットアウトしてくれます。
ナイロン+メッシュ:通気性に優れて軽量なのがメリットですが、防水性に欠けることがあります。
ライナー素材
サーモフィットフォーム:熱で成型されるので、足にフィットしてくれます。
多層構造のインナー:衝撃吸収性と断熱性を両立しているので、ジャンプやグラトリをメインで考えている方に特におすすめです。
ブーツのヒモの種類と締め方
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
伝統的なシューレース | 靴ひもタイプ | 微調整しやすく修理も簡単 | 締めるのに時間がかかる |
ボアシステム | ダイヤル式 | 素早く簡単に締められる | ワイヤー断裂時に交換が必要。緩んでくることも多い。 |
スピードレース | 引っ張るだけ | 手袋のままでも操作可 | 締めムラが出る場合あり |
ハイブリッド | 上下で異なる構造 | 自由度とフィット感の両立 | やや価格が高め |
ブーツのヒモのタイプについてはレッスンでの生徒さんからも多く質問をいただく部分です。人によって好みがあるので、一概にどれがおすすめとは言いにくい部分があるのですが、個人的には初心者のうちは締めるのが簡単なボアシステムが良いのではないかなと思います。
ボアだと滑っているうちに緩んでしまうこともありますが、初心者のうちはリフトの乗り降りで板のつけ外しをするたびに小休止を入れることも多いと思います。その際に緩んでいれば締め直せばいいでしょう。
中上級者になってくると、ハイブリッドタイプが調節もしやすくフィット感も出るのでお勧めなのではないかなと思います。
おすすめスノーボードブーツブランド&モデル(万人向け)
Burton(バートン)
Ruler Boa
中程度のフレックスで初心者〜中級者に最適です。Boaダイヤル採用でフィット感の調整がしやすいのも特徴。
Photon Step On
独自のStep Onシステムでビンディングと一体化。素早い脱着を求める上級者に好評です。
DC
Phase BOA Pro
クッション性のあるインナーと高反発アウトソールを組み合わせていて、快適かつ反応性が高いのが特徴。
Judge
デュアルBoa採用で、前足と足首の締め分けが可能。トリック系ライダーにも支持されています。
ThirtyTwo
Lashed
軽量かつ柔らかめのフレックスで、グラトリ好きに人気。
TM-2 XLT
硬めでレスポンスが早く、バックカントリーやスピードライディングをメインに滑っているボーダーにおすすめです。
Salomon
Faction BOA
軽くて柔らかく、初めての一足に最適。コスパ重視のユーザーや初心者に人気です。
Dialogue Dual Boa
やや硬めでサポート力が高く、パフォーマンス志向の中級者向け。
レディース向けスノーボードブーツの選び方とおすすめモデル
スノーボードを楽しむ女性は増えてきています。女性の方が足先が冷えやすかったり疲れやすかったりするので、女性にとってもスノーボードブーツ選びはとても重要です。
この章では、女性におすすめのスノーボードブーツについて解説していきます。
女性用スノーボードブーツの特徴
レディースモデルのブーツは、女性の足の特徴(小さめ・かかとが小さい・ふくらはぎが低め)に合わせて以下の点が工夫されています。
足型にフィットした設計:かかとの浮きを防ぐヒールホールド強化設計。
柔らかめのフレックス:自然な足の動きを妨げず、操作しやすい。
軽量設計:小柄な体格にも合うように軽く作られている。
そのため、足のサイズが大きめの女性で男性モデルのブーツが履けてしまう場合であっても、レディースモデルのブーツを選ぶことをお勧めします。
レディースにおすすめのモデル
【Burton Limelight BOA】
柔らかめで履き心地がよく、Boaで脱着が楽ちんなので力の少ない女性でもしっかりとブーツを締められます。インナーの保温性も高いため、冷え性の女性にもおすすめです。初心者~中級者までおすすめできるモデルです。
【Salomon Ivy BOA SJ】
ダブルBoa採用でホールド感抜群です。女性の足型に合わせたフィット感を実現した仕様になっています。
【ThirtyTwo STW Double Boa】
柔らかくて初心者でも扱いやすいモデル。柔軟なアウターと熱成型インナーで足に馴染むので、長時間履いていても疲れにくいのが特徴です。
キッズ向けスノーボードブーツの選び方とおすすめモデル
続いては、キッズ向けのスノーボードブーツについてです。成長期のお子様には、しっかりとフィットしたブーツを選んであげたいですよね。
ブーツがお子様の足に合っていないと、怪我の原因にもなってしまうので、ブーツは特に慎重に選んであげましょう。
キッズブーツの選び方ポイント
成長を考慮したサイズ感
やや余裕のあるサイズ選びと、インソール調整ができるモデルがおすすめです。買ったばかりで少し大き目かな、という場合は分厚い靴下で調節するか、靴下を二枚履きして調節してあげましょう。あまりにぴったりすぎるサイズを買ってしまうとすぐにサイズアウトしてしまいます。
脱ぎ履きのしやすさ
子どもが自分で脱着しやすいBoaやベルクロタイプがおすすめです。
柔らかいフレックス
お子様でもしっかりと板に力を伝えられるように柔らかいフレックスのブーツがおすすめです。足首の可動域が広く、転倒しにくい特徴があります。
キッズにおすすめのスノーボードブーツモデル
【Burton Grom BOA(キッズ)】
Boa搭載で子どもでも簡単に締められます。柔らかく動かしやすいため、小学校低学年にも使いやすいでしょう。
【K2 Mini Turbo / Lil Kat】
成長に合わせてインソールで調整可能です(Grows-A-Longシステム)。軽量で柔らかいのでお子様の初めてのスノーボードブーツに最適です。
【Salomon Whipstar】
大きな面ファスナーで簡単に着脱できますので、お子様ご自身でも脱ぎ着ができるでしょう。耐水性・断熱性も備えていて、寒さにも安心です。
初心者向けスノーボードブーツの選び方とおすすめモデル
ここでは、スノーボード初心者の方のおすすめスノーボードブーツについて少し掘り下げていきます。
初心者の方のブーツ選びのポイント
軽量で柔らかめ
スノーボード初心者の方は、まだ足が慣れていないので、重いブーツにするとすぐに足が疲れてしまい、長く練習できなくなってしまいます。できるだけ軽いものを選びましょう。また、柔らかいブーツの方が足元の自由が効くため、転倒時の衝撃も軽減できます。
BOAやスピードレース
ブーツに慣れていないうちは、ブーツを履くだけで疲れてしまうこともしばしばです。できるだけ履きやすいモデルがお勧め!BOAやスピードレースタイプにするといいでしょう。リフトの乗り降りのときや、少しだけトイレ休憩したいときなどにも便利です。
足の冷え対策も大切
寒さは一気に体力を奪ってしまうものです。保温材が入ったインナーや起毛素材で冬の寒さにも強い設計が理想です。
初心者におすすめのスノーボードブーツ
初心者にとっては、「履きやすさ」「柔らかさ」「コスパの良さ」が重要です。以下におすすめブランドとモデルをご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
Burton Ruler BOA
ミドルフレックス。熱成型インナーで履き心地◎
Salomon Faction BOA
コスパ抜群、軽量、操作しやすい
DC Phase BOA
クッション性高く、見た目もスマート
ThirtyTwo STW BOA
とにかく柔らかく、グラトリや練習に最適
HEAD Scout LYT BOA
軽量で耐久性もあり、初心者向け入門ブーツ
上級者がスノーボードブーツを選ぶときのポイント
上級者になってスノーボードを滑るときのスピードが出てくるほど、ブーツの重要性をより深く実感するでしょう。上級者の方がブーツをより酷使するため、しっかりと良いものを見極めて手に入れると良いですね。
上級者がスノーボードブーツを選ぶときのポイント
高いレスポンス性能
上級者になってくると、滑っているときの滑走スピードが速くなりますし、ジャンプなどトリックを入れることも増えてきます。そのため、足元の動きが正確にボードへ伝わるレスポンス性能は重要ポイントです。
ビンディングとの相性
特にStep Onや特定ブランドの組み合わせに注意しましょう。ビンディングとの相性が悪いと、しっかりとフィットせずに板への力の伝わり方が悪くなってしまう場合があります。
耐久性重視
上級者になってくると、ジャンプや高速滑走が多いため、頑丈さが求められます。
上級者におすすめのスノーボードブーツ
スノーボードの上級者は「高い反応性」「強いホールド」「用途に合った設計」が叶えられているブーツを選ぶといいでしょう。
以下に具体的なブランドとモデルをご紹介していきます。
Burton Ion BOA
硬めで高速カービングにも対応しています。万能高性能モデル!
ThirtyTwo TM-2
高剛性でジャンプやカービングに強いブーツです。耐久性もばっちり◎
Salomon Dialogue Dual BOA
デュアルBoaで高いフィット感を実現しているブーツです。オールラウンドモデルと言えるでしょう。
DC Judge BOA
応答性が高いため、キッカーやグラトリをするボーダーに最適のブーツです。高速カービングにも適しているブーツです。
K2 Maysis
内部ハーネス付きでかかとをがっちり固定してくれます。まさに上級者モデルです。
スノーボードブーツの適切なメンテナンス方法
ブーツは決して安い買い物ではないですよね。自分にぴったりフィットするブーツに巡り合えたのであれば、できるだけ長く使い込みたいですよね。
この章では、スノーボードブーツをできるだけ長く持たせるための適切なメンテナンス方法についてお伝えしていきます。
使用後にしっかり乾燥させる
ブーツ内部の湿気をそのまま放置すると、カビや臭いの原因になってしまいます。使用するたびにしっかりとブーツを乾燥させましょう。ブーツのインナーは必ず外して乾燥させることが重要です。できればブーツドライヤーを使用するのがおすすめです。
インソールの洗浄
インソールはできれば使用するたびに取り外して洗濯するか、除菌スプレーで綺麗にしておくといいでしょう。
保管時の工夫
シーズンオフに入ってしばらくの間スノーボードブーツを使用しない場合は、ブーツの中に新聞紙や乾燥剤を入れて、高温多湿を避けた場所で保管しましょう。
まとめ
スノーボードブーツは、あなたの滑り心地やパフォーマンス、上達スピードを左右する「最も重要なギア」と言えます。見た目や価格だけで選ぶのではなく、ライディングスタイル・足の形・操作性などをトータルで考慮して、自分に合った一足を選ぶことが大切です。
私たちSamuraiSnowConciergeは、お勧めのスノーボードブーツについての情報はもちろん、そのほかのアイテム選びのコツや、スノーボードの滑りの技術などもご紹介しております。
もし、スノーボードに関してわからないことや疑問があれば、ぜひお気軽に私たち現役のA級インストラクターにご相談くださいね。
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