スノーボードを滑るときにウエアの下に着る服のことをインナーと言いますが、みなさんは普段スノーボードを滑るときどんなインナーを着ていますか?
初めてスノーボードを滑りに行くという方や、あまりゲレンデの状況に慣れていない方は、ウエアの下に着るインナーとしてどれを選べばいいのかよくわからないですよね。
中には、「安いし家にあるからユニクロのヒートテックでいいか」と考えている方も多くいらっしゃるでしょう。実際、ヒートテックは街中で着ているととても温かいですし、手軽に手に入るのでインナーとして候補になりやすいですよね。
でも、実際スノーボードを滑るときのファーストレイヤーインナーとして、ヒートテックは最善の策なのでしょうか。
今回は、そんなヒートテックに関して、スノーボードのインナーとしてアリなのかナシなのか、スノーボードに適したインナーの特徴はどのようなものなのか、ヒートテック以外でおすすめなインナーにはどのようなものがあるのかについて、現役のA級インストラクターである私たちが詳しく解説していきます。
ぜひ今回の記事を参考にしていただいて、快適なスノーボードライフを満喫していってくださいね。
スノーボードを快適に滑るためにはインナーが超重要
まず大前提のお話ですが、スノーボードを快適に滑るためにはウエアの中に着るインナーはとても重要なアイテムです。
中でも、一番下に着るインナーはファーストレイヤーと呼ばれていて、快適さを維持する上でかなり重要なポジションを担っています。
特に初心者のころは、一番上に着るスノーボードウエアにお金をかけたくなってしまうと思います。見た目のデザインなど目に見える部分なのでこだわりたくなりますが、それと同じくらいに中に着るインナーウエアにもお金をかけたほうが快適になります。
実は、上級者になればなるほど、ファーストレイヤーインナーにお金をかけるようになります。それほど、インナーはスノーボードを楽しむうえで重要なアイテムということですね。
関連記事:スノーボードウエアの下には何を着ればいい?快適なインナー選びのポイント
スノーボードのインナーとしてヒートテックはアリ?
それでは早速本題ですが、スノーボードのインナーとしてヒートテックはアリなのでしょうか?
結論から申し上げますと、スノーボードなどウィンタースポーツをする際のインナーウエアとしてヒートテックはおすすめできません。
なぜヒートテックはスノーボードのインナーウエアとして不向きなのか、もう少し詳しく解説していきます。
ヒートテックの暖める原理が逆効果
ヒートテックがスノーボードのインナーとしておすすめできない理由としては、ユニクロのヒートテックが汗を吸って発熱する「吸湿発熱繊維」を使用しているからです。スノーボードは雪上の寒い場所で行うスポーツですが、激しい全身運動なので、寒い中であっても汗はかきます。
「ヒートテックは汗を吸って発熱するんだから、スノーボードのときにも暖かくなるんじゃないの?」
確かに、そう思うよね。でも、これが案外落とし穴で、スノーボードなどのスポーツのときは、ヒートテックが想定している量を大幅に上回る汗をかくから、ヒートテックの生地が汗を吸収しきれなくなって水分が溜まってしまうんです。
イメージとしては、
「汗を吸収して暖かくなる」→「暖かいので更に汗をかく」→「通気が追いつかなくて生地に汗の水分が溜まっていく」→「結果、汗の水分によって冷たくなる」
という結果になります。いわゆる汗冷えですね。
スノーボード中にかく汗の量が問題
スノーボードを滑っているときは全身運動なので、寒くてもかなりの汗をかきます。それがウエアから発散されることなくウエアの中に水分として溜まるので、そのままリフトに乗って動かない時間ができると・・・・もう、極寒です。
特に、もともと汗をかきやすい人や、初心者の方で必死に滑ることが想定される人は大量の汗をかきますので要注意です。
「ヒートテックは最強に温かいインナー」というイメージを持っている方も多いと思いますが、それはタウンユースとして使っているときでそれほど汗をかかない状況においてです。
普段の生活では、冬の寒い時期だと水蒸気レベルの水分しか体から出ていないので、ヒートテックが吸収できる量の水分で汗冷えということにはなりませんが、スポーツをしているときに出るレベルの汗の量までは吸収しきれないので、スポーツインナーとしては向かないのですね。
街中で過ごす分にはヒートテックは最強の下着ですが、激しく運動する際はどんどん暑くなってさらなる汗を誘発してしまいます。それが-何℃の世界だと汗がそのまま冷え切って体全体をキンキンに冷やしてしまうのでヒートテックは街中だけで活用するのがベストです。
スノボに最適なインナーの特徴とは
ヒートテックはスノーボードのファーストレイヤーインナーウエアとしてはおすすめできないとお伝えしましたが、ではどんなインナーなら快適に過ごせるのでしょうか。
スノーボードを滑るときに適しているインナーの特徴としては
✓吸湿性が高い
✓速乾性が高い
✓保温性が高い
の3点です。
吸湿性
吸湿性とは、汗をどれだけ吸い取ってくれるかという指標です。吸湿性が高くないと汗が吸い取られずにウエアの中がべたべたになって不快です。
速乾性
速乾性は吸い取った汗をどれだけ素早く乾かしてくれるかという指標です。生地が汗を吸い取ってくれるのはいいけれど、いつまでも汗の水分を蓄えたままだと、リフトの上などで汗冷えを起こしてしまいます。
速乾性が高ければ高いほど、生地がさらさらになって汗冷えを防ぐことができるので快適に過ごせます。
ファーストレイヤーインナーとしては、この速乾性が一番重要と考えていいでしょう。
保温性
一番下に着るインナーはやはり保温性も大切です。特に、ハイシーズンにスノーボードを滑る方や極寒エリアと言われるスキー場でスノーボードをする方は、保温性もある程度重視してインナーを選ぶ方が安心です。
ただ、保温性がありすぎても汗を余計にかいてしまい、汗の発散が追い付かずに汗冷えを起こしてしまいます。
自分が汗をかきやすいタイプなのか、メインで滑るスキー場はどのくらい冷え込むのかを考えてから、インナーに求める保温性を決めていくといいでしょう。
また、ファーストレイヤーインナーの上に着るミドルレイヤーのインナーで保温性を調節することもできますので、着る服をトータルで考えてコーディネートするのがおすすめです。
少々お値段が張る
スノーボードを始めウィンタースポーツに適しているインナーは機能性が高い分、少々お値段が張ります。特に、安いヒートテックを見てしまうとなおさら高く感じてしまうかもしれませんね。
しかし、ウィンタースポーツに特化した高機能のインナーを着て一度でもスノーボードを滑れば、きっと手放せなくなるくらい、快適に過ごせます。
高いと言っても1枚5,000円前後で買えますので、一度試しに着て滑ってみるのをおすすめします。機能性が高くコスパもいいファーストレイヤーインナーについては、最後の章でご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
スノボ旅行にヒートテックは完全NGなの?
ここまでで、スノボのインナーとしてヒートテックはおすすめできないとお伝えしてきましたが、この記事を読んでいただいている方の中には
「スノボ旅行に行くために新しくヒートテック買っちゃったよ・・・」
という方もいらっしゃるかもしれませんね。
大丈夫です。ヒートテックはスノボ旅行のいろいろなシーンで活用することができますし、裏技を使えばスノーボード中もヒートテックを着ることができます。
この章では、スノボ旅行でのヒートテック活用法についてみていきましょう。
ヒートテックのおすすめ活用法
かくいう私もヒートテックは何枚か持っていてかなり愛用しています。スノボ旅行に行くときも持っていっています。
ただ、スノーボードを滑るときに着るのではなく、移動着や部屋着として使っています。めちゃくちゃ暖かくて快適です。
スノーボードを滑るときはどうしても汗をかいてしまうのでヒートテックはインナーとして向いていませんが、移動中や部屋の中にいるときは真冬なのでほとんど汗をかきません。そのため、汗冷えを起こすこともなく、ただただ保温力が高いインナーとして暖かく過ごすことができます。
もし、フェリーに車を乗せて北海道のスキー場に遊びに行く、という場合はヒートテックが活躍しますよ。フェリーの中はかなり寒い上に長時間になることが多いので、フェリー移動の際はヒートテックがおすすめです。
どうしてもスノボでヒートテックを使いたい場合の裏技
基本的にはヒートテックは移動中や部屋の中での部屋着として活用するのがおすすめですが、「ヒートテックしか持っていないからスノボ中もヒートテックを着たい!」という方もいるかもしれません。
その場合は、裏技を試してみてください。それはずばり、ユニクロ二枚重ねです。ヒートテックを2枚重ねて着るのではないですよ。
ヒートテックの下に、エアリズムやサラファインなどの夏用の速乾性の高いインナーを着込むことで大量にかいた汗を外に逃がしつつヒートテックで保温するという裏技です。
一番下に速乾性の高いインナーを着ているので汗冷えの対策にもなりますし、汗をかいたときにヒートテックが張り付く嫌な不快感も回避することができます。
もちろん、スノーボードインナーとして開発されている高機能インナーを着るのが一番快適に過ごせますが、どうしてもヒートテックしか持っていない、という場合は、このように裏技を試してみるのもアリでしょう。
ヒートテックに代わるおすすめスノボインナー
ヒートテックがスノーボードのインナーに向いていない…ということであれば、どんな服をファーストレイヤーインナーとして着るのが良いのでしょうか。
この章では、ヒートテックに代わるおすすめのスノーボードインナーをいくつかご紹介していきます。
どれも保温性がありながらも速乾性も吸湿性も高いのでさらっと着ることができて汗をかいても快適に過ごせますよ。
モンベル ジオライン
まずは、多くのアウトドア好きに愛されているモンベルのジオラインです。スノーボーダーはもちろん、登山を楽しむ人の間でも評価が高いことで有名です。
生地の中に多くの空気を蓄える設計になっているので、高い保温力を持つとともに、素早く汗を吸水拡散して、素肌を常に乾いた状態に保ってくれます。スノーボードやスキーなど、動と静を繰り返すアクティビティに最適なインナーウエアです。
価格も5000円未満なので、ヒートテックから切り替えようかなと思っている人も候補に入れやすいのではないでしょうか。
モンベル スーパーメリノウール
スノーボード中は汗をかきやすいとはいえ、やっぱり保温性を重視したい!という方はモンベルのスーパーメリノウールがおすすめです。
これは、先ほどご紹介したジオラインのさらに暖かいバージョンです。ウールの優れた保温性と伸縮性を両方かねそなえていて、中厚手に作られているので暖かさ重視のインナーです。
汗の吸湿性に優れていて、吸い取った汗をすみやかに外に放出するので汗冷えの心配がありません。厳冬期の日常の下着としても活躍しますよ。
CW-X スポーツタイツ
CW-Xは女性用のスポーツブラやスポーツ用のスパッツで有名なブランドですね。こちらのブランドから出ているインナーは、カラダの動きと部位ごとの着圧設計を計算しつくした究極の機能性インナーと謳われています。
適度な着圧で皮膚・脂肪・筋肉の無駄なユレを抑えて、不快な着圧感を軽減して全身の動きをサポートしてくれます。
保温性に優れるというよりは体の負担を軽減する機能がメインなので、寒さを感じる場合はミドルレイヤーのフリースやダウンで調節すると快適に過ごせますよ。
ミズノ ブレスサーモ
続いては、100年の歴史を誇る日本最大のスポーツメーカーのひとつ、ミズノが出しているブレスサーモというインナーです。
ミズノは最先端の技術を駆使していて、その性能の高さは世界的にも認められています。
ミズノのブレスサーモはとにかく温かく、肌触りが最高に良いです。冬の普段着としても活躍しますし、もちろんスノーボードを滑るときも一切汗冷えが気になりません。スポーツインナーとして1枚は持っておいても損はないと思います。
BURTON ミッドウェイトベースレイヤー
スノーボードのトップブランドであるBURTONからも優秀なインナーがラインナップされています。
ミッドウェイトという名前の通り、厚すぎず薄すぎずのちょうどいい生地感で、吸湿性、保温性、伸縮性が高く、ちょっと肌寒い日からかなり寒い日にまで対応する万能なインナーです。
晴れているゲレンデでも、雪が降っている寒い日のゲレンデでも、どんな天気でも対応しやすいのでこれ一枚でどんな天候も楽しむことができるでしょう。激しく動いて汗をかいてもすぐに汗を吸い取ってサラサラの状態を保ってくれるので、ストレスなく滑る事ができますよ。
まとめ
スノーボードのアイテムを揃えるとき、どうしてもスノーボードの板やブーツ、ウエアなどぱっと見で目に見える場所にお金をかけたくなってしまうと思いますが、快適に滑ることを考えるとインナーはとても大切なアイテムです。
普段から着慣れていて手軽に手に入るヒートテックはついインナーとして選びがちですが、汗冷えの原因になりますし、純粋に汗が冷えると不快なので滑っていてもストレスフルになってしまいます。
今後長くスノーボードを楽しみたいと考えている方は、ぜひ今回ご紹介したインナーの知識を参考にしていただいて、自分にぴったりの快適インナーを見つけてみてください。
こちらのサイトでは、インナーをはじめとするスノーボードアイテムについてはもちろん、スノーボードが上達するための練習方法や、板やビンディングについての知識など、あらゆる情報をお伝えしております。
もし、スノーボードに関してわからないことや聞きたいことがあれば、お気軽に私たち現役のインストラクターにお尋ねくださいね。
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