冬の北海道といえば、世界中のスキーヤーやスノーボーダーを魅了する「極上のパウダースノー」ですよね。
一度でも北海道のパウダースノーを味わったことがある方なら、その浮遊感と快感は忘れられないでしょう。
また、「せっかく北海道まで行くなら、ゲレンデだけじゃなく、バックカントリーにも挑戦してみたい!」と憧れる人も多いのではないでしょうか。
しかし、バックカントリーは大自然そのものがフィールドとなっているので、雪崩や遭難といったリスクが常に隣り合わせで、十分な経験や装備がなければ命に関わる危険も潜んでいます。
そこで今回は、現役のA級インストラクター兼サイドカントリーガイドである私たちが、北海道でバックカントリーを楽しむ際に知っておきたい人気エリアやリスク、そして“より安全にパウダーを楽しめる方法”としておすすめの「サイドカントリー」について詳しくご紹介します。
今年こそは北海道のパウダースノーを本格的に満喫したい!という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
北海道でバックカントリーが人気な理由
北海道の雪は「ジャパウ(Japan Powder)」と呼ばれ、世界の他のゲレンデと比べても軽くて乾いた極上のパウダースノーとして有名です。連日降っている大量の雪により、スキー場の管理区域のゲレンデ内でも十分にふかふかの雪を楽しめますが、整備されていないエリアに入ればさらにディープな雪を体感できます。
そのため、多くのスキーヤーやスノーボーダーが誰も入っていないようなディープなパウダースノーを求めてバックカントリーに訪れています。
特に人気のバックカントリーエリアは次の通りです。
ニセコ(羊蹄山周辺)
ニセコは、国内だけでなく世界的にも有名なパウダースノーの聖地で毎年かなり多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れています。広大なオフピステや山岳地帯が広がり、バックカントリー愛好者が世界中から集まっています。
旭岳(大雪山系)
ロープウェイで標高2,000m近くまでアクセスが可能なので、ロープウェイのみでサイドカントリーを楽しむこともできますし、ロープウェイの上は自力でハイクアップしてバックカントリーを楽しむこともできます。日本離れした雄大な地形とパウダーが魅力です。
富良野・トマム周辺
内陸特有の冷え込みで雪質が非常に良いエリアです。ニセコや旭岳に比べると混雑が少なく、ローカル感があり、のんびりと滑走が楽しめるでしょう。
必ず知っておきたいバックカントリーのリスク
一方で、バックカントリーは「誰でも気軽にできるアクティビティ」ではありません。多くの危険が伴い、命を落とす危険性もあることを十分に理解しておかなければなりません。
また、危険性を理解したうえで、しっかりとした装備を身に着けて、万が一のときに備えるようにしましょう。
雪崩のリスク
バックカントリーで最も恐ろしいのが雪崩です。雪崩のリスクをしっかりと認識しておきましょう。
- 積雪の層が不安定:前日までの積雪や気温差で「弱層」と呼ばれる崩れやすい雪の層ができやすく、わずかな衝撃で崩れることがあります。
- 斜度30度前後が危険:スキーやスノーボードで滑るのにちょうど気持ちいい斜度は、実は雪崩が起きやすい角度でもあります。
- 過去の事例:北海道でも毎年のように雪崩事故が発生しており、経験豊富なローカルライダーですら巻き込まれることがあります。
遭難・道迷い
バックカントリーにはコースマップや標識はありません。自分が今どこを登っているのか、どこを滑っているのかわからなくなってしまうと、帰り道がわからなくなり、命を落とす危険性につながります。
- ホワイトアウト:北海道特有の強風や降雪で、一瞬にして視界が真っ白になり方向感覚を失うことがあります。
- GPS頼りは危険:スマホのバッテリーは低温下で急速に減り、電波が届かない場所も多いです。
- 地形の錯覚:雪に覆われた地形は見分けがつきにくく、思わぬ崖や沢へ迷い込むケースも少なくありません。
装備不足・知識不足による危険
バックカントリーには必須装備があります。
- ビーコン(雪崩埋没者捜索装置)
- プローブ(雪崩用ゾンデ棒)
- ショベル
これらがなければ仲間を救助することすらできません。
さらに、これらの装備を持っていればOK!というわけではなく、持っているだけでは不十分で、正しく使いこなすトレーニングが必要です。いざというときに使いこなせなければせっかくの装備も意味がなくなってしまいます。
実際に多くの旅行者やバックカントリー初心者が、装備なし・知識なしで安易にエリア外に入り、トラブルになるケースが後を絶ちません。
体力と環境の厳しさ
- ハイクアップ(登り):リフトやゴンドラがない場所では、自分の足で山を登る必要があり、体力を消耗します。
- 極寒環境:北海道の山は氷点下10度を下回ることもあり、吹雪の中で動けなくなると低体温症のリスクも高まります。
- 救助まで時間がかかる:ゲレンデ内と違い、バックカントリーでは遭難や怪我をしてもすぐには助けが来れません。場合によっては救助まで数時間以上かかることもあります。
ゲレンデと同じような感覚で挑んでしまうと、環境の厳しさに耐えられなくなってしまうかもしれません。
法的・管理上の問題
バックカントリーは自己責任の世界です。そのため、スキー場管理区域外に無断で侵入すれば、救助費用が高額になるケースもあります。
また、ルールを守らず無謀な行動をすると、他の滑走者や救助隊にも迷惑がかかります。
「楽しそうだから」「滑ったら気持ちよさそうだから」という安易な気持ちだけで行ってしまうとかなりの危険が伴うことになります。
初心者にはかなり危険
つまり、バックカントリーは魅力的である一方、憧れだけで飛び込むのは非常に危険なアクティビティなのです。特に初めて北海道を訪れる旅行者やバックカントリー初心者にはハードルが高いのが現実です。
だからこそ、「まずはサイドカントリー+ガイド同行」から始めるのが賢い選択と言えます。次の章で、バックカントリーよりも安全に楽しめるサイドカントリーについてご紹介していきます。
サイドカントリーという選択肢
バックカントリーが危険なのはわかったけど、「それでも北海道のパウダースノーを思いっきり滑りたい!」という方におすすめなのが、サイドカントリーです。
サイドカントリーとは、スキー場のリフトやゴンドラを利用してアクセスし、そこからスキー場の境界外や非圧雪エリアに入る遊び方です。スキー場のルールとしてサイドカントリーを許可しているスキー場も北海道には多いので、バックカントリーに比べるとかなり安心して楽しむことができます。
また、サイドカントリーガイディングといって、スキースノーボードスクールがガイドを行っているので、そのサービスを利用すればより安全に、よりディープなパウダースノーを効率的に楽しむことができます。
関連サイト:北海道のサイドカントリーガイディング SamuraiSnowConcierge
サイドカントリーの魅力は・・・
- バックカントリーの雰囲気を味わえる
バックカントリーのような完全には管理されていない場所を滑れる一方で、リフトを使えるので体力的な負担が少なく、滑走そのものに集中できます。 - 比較的安全性が高い
バックカントリーほど孤立しておらず、ゲレンデに戻りやすいのがメリットです。雪崩も起きにくくなっています。
北海道にはサイドカントリーを楽しめるスキー場が多数あります。
- ニセコ:ゲートを通じて豊富な非圧雪エリアにアクセス可能。
- ルスツ:ツリーラン天国として人気。人も少なめ。
- 富良野:雪質の良さと程よい規模感でおすすめ。
- トマム:上級者も満足できる非圧雪ゾーンあり。
サイドカントリーを楽しむならガイド同行がおすすめ
「サイドカントリーなら自分で行っても大丈夫では?」と思う方もいるかもしれませんが、実はここにもリスクは存在します。雪質や地形は日によって変わり、初心者が独断で入るとトラブルにつながることも少なくありません。
また、安全そうなサイドカントリーの場所だけしか行けないとなると、すでに多くのスキーヤーやスノーボーダーが滑っているのでディープパウダースノーを味わうことはほぼ不可能になってしまいます。
そのため、サイドカントリーをより安全に、最大限効率よく楽しむならサイドカントリーガイドへの参加がおすすめです。
- 安全性が高まる
雪崩のリスク管理、ルート選びなどをプロが判断してくれるので、安心して滑走できます。 - 最高の雪に案内してもらえる
ガイドは日々の積雪や風向きを熟知しており、ベストな斜面に連れて行ってくれます。また、参加者のレベルに合わせたバーンを選んでくれるので無理なく楽しめます。 - 効率的に楽しめる
自分で迷いながら探すより、限られた時間で効率よく最高のパウダーを堪能できます。
初心者から上級者まで、レベルに合わせたツアーがあるので安心です。
おすすめのサイドカントリーガイディングはこちら!
まとめ
北海道のバックカントリーは憧れのアクティビティですが、雪崩や遭難といったリスクを考えると、安易に挑戦するのはおすすめできません。
その代わりに、スキー場リフトを活用して非圧雪エリアへアクセスできる「サイドカントリー」なら、比較的安全にバックカントリー気分を味わえておすすめです。
さらにガイド同行のツアーを利用すれば、安心感と満足度は段違いです。北海道の極上パウダーを、安全に、そして思い切り楽しみたい方には最適な選択肢と言えるでしょう。
私たちSamuraiSnowConciergeは北海道のルスツでプライベートレッスン&サイドカントリーガイディング専門のスクールを運営している現役のA級インストラクターです。
サイドカントリーガイディングやパウダーレッスンについて疑問がありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。
ご相談お待ちしております。
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